10日の香港株式相場は小幅ながら8営業日ぶりに反落。ハンセン指数の終値は前日比7.49pt(0.02%)安の25049.73ptだった。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控えて様子見ムードが広がり、短期的な過熱感を背景に利益確定売りが出た。中国の物価指標が低調だったことも重荷となった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで9億9200万香港ドルの買い越しだった。
10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落。前日比282ドル31セント(1.0%)安の26989ドル99セントで取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)は10日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でゼロ金利政策を2022年末まで続ける方針を示した。長期金利が低下して銀行株が大幅安となり、資本財など他の景気敏感株にも売りが波及した。FOMC後に開示された米経済見通しで、失業率は高止まりし22年でも新型コロナウイルスの感染拡大前の水準を大きく上回るとの予想が示されたことを受け、米経済の正常化には時間がかかるとの見方が市場で改めて強まり、景気敏感株の売りを促した面もあったよう。半面、PERが高いハイテク株は金利低下で相対的な投資妙味が増すとの見方から、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は4日続伸となった。
本日の香港市場はもみ合いを想定。利益確定売りが出やすい状況は続くと思われるものの、FRBが金融緩和の長期化を決めたことは支えとなろう。ハンセン指数は25000pt台を維持できるかがポイントとなりそうだ。本日はネットイース(09999)が上場する予定。前日のグレーマーケットの終値は公開価格の123香港ドルを5.61%上回る129.90香港ドルとなった。同社の上場で、ネット関連銘柄に注目が集まる流れも想定しておきたい。
(マーケット支援部 井上)
方向感に乏しい展開か。個別銘柄を選別物色する動きが続きそう
10日の中国本土株式市場で主要株価指数はまちまちの動き。上海総合指数の終値は前日比12.3591pt(0.41%)安の2943.7525pt、深セン成分指数の終値は同51.62pt(0.45%)高の11335.862ptだった。朝方発表の5月の物価統計のうち、卸売物価指数(PPI)は前年同月比3.7%下落と下落率が4月の3.1%から拡大し、国内景気の回復がなお鈍いとの懸念につながった。金融株や不動産株、資源・素材株などの大型株が売られたほか、空運株や医薬品株、インフラ株なども安かった。一方、中小型株には押し目買いが散見され、製紙株や小売株が上げた。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで4億2300万元の買い越しだった。個別では、歌爾(002241)、宜賓五糧液(000858)、伊利実業集団(600887)、上海国際機場(600009)などが買い越しとなり、格力電器(000651)、貴州茅台酒(600519)、中国国旅(601888)、江蘇恒瑞医薬(600276)、興業銀行(601166)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場は方向感に乏しい展開か。戻り待ちの売りをこなしながら、個別銘柄を選別物色する動きが続きそうだ。
(マーケット支援部 井上)