9日の香港株式相場は7日続伸。ハンセン指数の終値は前日に比べ280.45pt(1.13%)高の25057.22ptだった。節目の25000ptを上回り、3月11日以来約3カ月ぶりの高値だった。新型コロナウイルスの影響で経営難に陥っていたキャセイパシフィック航空が同日午後、香港政府などから390億香港ドル規模の支援を受けると発表した。香港の有力企業の経営不安が後退したほか、8日の米株式相場の上昇もあって投資家が運用リスクの選好姿勢を強めた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで7億1800万香港ドルの買い越しだった。
9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は7営業日ぶりに反落し、前日比300ドル14セント(1.1%)安の27272ドル30セントで終えた。機関投資家が運用の指標にするS&P500種株価指数は前日に年初来でプラスに転じており、上昇に一定の達成感が出ていた。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を10日に控え、持ち高調整の売りも出た。一方、ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は3日続伸し、前日比29.01pt(0.3%)高の9953.75ptと連日で過去最高値を更新。取引時間中には初めて10000pt台に乗せる場面もあった。
本日の香港市場は反落か。前日のダウ工業株30種平均が下落したこともあり利益確定売りが優勢となろう。ただ、ナスダック総合株価指数が過去最高値を更新しており、米株の先高観は強いと思われる。経済が回復に向かっていることに加え、各国政府の財政出動や米連邦準備理事会(FRB)など中央銀行の金融緩和策は株式市場にとって強い追い風となっているようで、香港市場にとってもプラス材料といえよう。本日は日本時間10:30に中国の5月物価統計が発表される予定。市場では消費者物価指数が前年比2.7%の上昇、卸売物価指数が同3.3%の下落が予想されている。
(マーケット支援部 井上)
もみ合いか。景気回復期待が下支え
9日の中国本土株式相場は3日続伸。上海総合指数の終値は前日比18.3404pt(0.62%)高の2956.1116pt、深セン成分指数の終値は同68.482pt(0.61%)高の11284.242ptと、ともに約3カ月ぶりの高値となった。緩和的な金融政策を支えに世界の主要な株式相場が上昇し、中国本土市場でも投資マネーの流入期待が根強く、消費や医薬品など景気変動に影響されにくい内需株に高いものが目立った。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで46億2800万元の買い越し。個別では、ラックスシェア(002475)、美的集団(000333)、順豊HD(002352)、貴州茅台酒(600519)、江蘇恒瑞医薬(600276)、上海国際機場(600009)などが買い越しとなり、格力電器(000651)、宜賓五糧液(000858)、伊利実業集団(600887)、三一重工(600031)、中国国旅(601888)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場はもみ合いか。指数が約3カ月ぶりの高値水準ということもあり、利益確定売りが上値を抑える一方で、景気回復期待が支えとなろう。昨日業界団体が発表した油圧ショベルの月次統計では、5月の前年同月比販売増加率が4月を上回った。また、同月の乗用車販売台数は、小幅ながら11カ月ぶりにプラス成長を回復した。中国経済の回復は順調に進行しているとも捉えられ、投資家心理の支えとなりそうだ。
(マーケット支援部 井上)