13日の香港株式相場は続落。ハンセン指数の終値は前日比65.38pt(0.26%)安の24180.30ptで取引を終了した。米中関係の悪化や新型コロナウイルス感染第2波への警戒を受けて持ち高を調整する売りが優勢となった一方で、中国本土からの資金流入が相場を下支えし、下値は限られた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで33億9400万香港ドルの買い越しだった。
13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落。前日比516ドル81セント(2.2%)安の23247ドル97セントで取引を終えた。下げ幅は700ドルに迫る場面もあった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が13日朝の講演で新型コロナウイルスによる米景気の下振れリスクを強調。発言が投資家心理の悪化につながり、銀行やハイテク株など幅広い銘柄に売りが膨らんだ。
本日の香港市場でハンセン指数は続落か。米株式相場が大幅安となった流れを受け売り先行のスタートが予想される。米中対立深刻化を懸念させる報道が相次いでおり、警戒材料として意識されそうだ。一方で、個別銘柄を物色する動きも想定しておきたい。昨日引け後にテンセント(00700)が発表した2020年1~3月期決算は、純利益が前年同期比6%増の288億元、売上高が26%増の1080億元と、ともに市場予想(純利益:16%減の227億元、売上高:18%増の1011億元、QUICKファクトセット予想)を上回った。新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり消費を背景に、主力のゲームやSNS(交流サイト)広告が好調だったようだ。新型コロナ禍で業績を伸ばした格好となっており、関連銘柄への物色期待が高まりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
方向感に乏しい展開か。全人代を前に政策に関する発言が増えそうだ
13日の中国株式相場はこじっかりの展開。上海総合指数の終値は前日比6.4931pt(0.22%)高の2898.0495pt、深セン成分指数の終値は同59.034pt(0.53%高)の11074.592ptで取引を終了した。朝方は新型コロナウイルスの感染拡大の第2波や米中対立を懸念する売りが先行したが、売り材料が限られるなかで好業績が期待できる銘柄を物色する動きが優勢となった。深センの新興企業市場「創業板」指数が上昇した半面、大型株で構成する上証50指数は下落し、「中小型株買い・大型株売り」の側面もあった。上海の米ドル建てB株指数は前日比2.15%安の197.8929ptと、2009年秋以来およそ10年半ぶりの安値を付けた。金融市場の対外開放方針が進むなかで外貨建て市場の存在意義が薄らぐとの見方が前日から強まり売りが続いた。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで2億500万元の売り越し。個別では、貴州茅台酒(600519)、江蘇恒瑞医薬(600276)、海天調味食品(603288)、伊利実業集団(600887)、三一重工(600031)などが買い越しとなり、中国国旅(601888)、格力電器(000651)、ラックスシェア(002475)、宜賓五糧液(000858)、美的集団(000333)などが売り越しとなった。
本日の中国市場は方向感に乏しい展開か。米中対立深刻化への懸念が上値を押さえそうな一方で、政策期待が支える展開が続きそうだ。中国国家発展改革委員会(NDRC)の何立峰主任は13日、新型コロナウイルス感染拡大による影響への対応の一環として、潤沢な流動性を維持すると同時に、市中金利を低水準にとどめるために、預金準備率の引き下げや利下げなどの手段を利用していく方針を示した。同時に内需拡大とインフラ投資拡充に努めるとも表明。供給網が競争力を保ち、安定的であることを確実にする方針を示した。来週22日開幕予定の全人代を前に、このような政策関連の発言は増えてくるものと思われる。政策期待が支えとなる展開は続きそうだ。
(マーケット支援部 井上)