12日の香港株式相場は3営業日ぶりに反落。ハンセン指数の終値は前日に比べ356.38pt(1.44%)安の24245.68ptだった。欧米などで経済活動が徐々に再開されつつある中、新型コロナウイルスの感染拡大「第2波」への警戒が強まったほか、米国が連邦職員の年金基金の運用対象から中国株の排除を検討しているとの一部報道も投資家心理の重荷となった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで18億2900万香港ドルの買い越しだった。
12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落。前日比457ドル21セント(1.9%)安の23764ドル78セントで取引を終えた。米経済活動の再開を期待した買いが先行したが、新型コロナウイルス感染の第2波を警戒した売りが次第に広がった。景気敏感株を中心に、引けにかけて一段安となり、相場上昇をけん引してきたハイテク株も利益確定売りに押された。
本日の香港市場でハンセン指数は売り先行スタート後もみ合いの展開か。中国の少数民族、ウイグル族の人権侵害問題を受け、米国が連邦職員の年金基金の運用対象から中国株の排除を検討しているとの一部報道は香港市場でも引き続き警戒要因として意識されよう。明日は中国の4月鉱工業生産や同小売売上高など主要経済指標の発表が予定されており、結果を見極めたいとするムードも強まりそうだ。
中国のIT(情報技術)企業が不要不急の外出を控える「巣ごもり」需要を取り込もうと動き始めたと伝わっている。ネット通販最大手のアリババ集団(09988)はネット宅配に対応する生鮮スーパーの出店を拡大し、需要の高まる生鮮品の取り扱いを広げるほか、京東集団(JDドットコム)は無人配送の実用化に本腰を入れるようだ。新型コロナウイルスが新たなサービスの生まれるきっかけになる可能性があり、関連銘柄に注目が集まりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
底堅い展開を想定。政策期待が支える流れは継続か
12日の中国株式相場で主要株価指数はまちまちの動き。上海総合指数の終値は前日比3.2456pt(0.11%)安の2891.5564pt、深セン成分指数の終値は前日比46.277pt(0.42%)高の11015.558ptだった。新型コロナウイルスで新たな集団感染が発生した湖北省武漢市で、当局が核酸検査を全住民対象に実施すると伝わり、感染が再び拡大するとの懸念が重荷となった。中国国家統計局が発表した4月の中国の卸売物価指数(PPI)は予想以上に悪化したが、消費者物価指数(CPI)の上昇率が半年ぶりに3%台に鈍化したことを受け、金融緩和余地の広がりが景気回復に向かわせるとの期待が指数を下支えした。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで17億5000万元の買い越しだった。個別では、貴州茅台酒(600519)、江蘇恒瑞医薬(600276)、中国国旅(601888)、海天調味食品(603288)、三一重工(600031)、格力電器(000651)、美的集団(000333)、宜賓五糧液(000858)、ラックスシェア(002475)、歌爾(002241)などが買い越しとなり、伊利実業集団(600887)などが売り越しとなった。
本日の中国市場は底堅い展開を想定する。武漢市などで集団感染が再び発生していると伝わっており、新型コロナウイルス感染の第2波に対する警戒感が上値を抑えよう。一方で、全国人民代表大会(全人代)の開幕を22日に控え、景気対策が本格化するとの期待は根強い状況か。李克強首相は11日、新型コロナ禍による国難を乗り越えるため、政策調整を強化すると表明した。また、中国人民銀行が10日に公表した1~3月の金融政策執行報告では、過剰流動性回避の文言が削除され、金融緩和が示唆されている。政策期待が支える展開が続きそうだ。
(マーケット支援部 井上)