11日の香港株式市場でハンセン指数は続伸。終値は前週末比371.89pt(1.53%)高の24602.06ptと、4月末以来の水準を回復した。欧米や香港を含むアジアなど各地域で経済活動再開の機運が高まるなか、世界景気の悪化に対する過度な懸念が後退した。時価総額上位の中国ネットサービスの騰訊控股(テンセント)が好業績期待から午後に一段高となり、相場全体をけん引した。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで16億3700万香港ドルの売り越しだった。
11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前週末比109ドル33セント(0.4%)安の24221ドル99セントで取引を終えた。中国や韓国で新型コロナウイルスの新たな集団感染が発生したと伝わり、米国でも感染の第2波を警戒した売りが優勢となった。
本日の香港市場でハンセン指数は上値の重い展開か。米国市場が3営業日ぶりの反落となっており、香港市場も上値追いの動きは限定的となりそうだ。また、香港政府への抗議活動再開が伝わっていることも警戒材料として意識されそうだ。本日は、日本時間午前10時30分に中国の4月消費者物価指数(CPI)と同生産者物価指数(PPI)が発表される予定。市場ではCPIが前年比3.7%上昇(前月実績は同4.3%上昇)、PPIは同2.5%低下(同1.5%低下)が見込まれている。
(マーケット支援部 井上)
方向感に乏しい展開を想定も政策効果の表れが投資家心理の支えに
11日の中国株式相場は小幅反落。上海総合指数の終値は前週末比0.5424pt(0.01%)安の2894.8020pt、深セン成分指数の終値は同32.298pt(0.29%)安の10969.281ptだった。新規材料に乏しいなか、目先の利益を確定する売りが優勢となった。一方、中国政府が8日に公表した通達でショッピングモールや飲食店、映画館などの営業再開を促したことを受け、個人消費が回復に向かうとの期待が相場を支えた。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は成約ベースで26億4700万元の買い越しだった。個別では、貴州茅台酒(600519)、中国国旅(601888)、格力電器(000651)、美的集団(000333)、宜賓五糧液(000858)、ラックスシェア(002475)などが買い越しとなり、江蘇恒瑞医薬(600276)、上海国際機場(600009)、ハイクビジョン(002415)などが売り越しとなった。
本日の中国市場は方向感に乏しい展開を想定。主要指数である上海総合指数と深セン成分指数は約2カ月ぶりの高値水準となっていることから、昨日に続き利益確定売り圧力の強まり意識されそうだ。また、今週は4月の各種経済指標の発表が予定(本日に物価統計、15日に鉱工業生産や小売売上高など)されており、結果を見極めたいとするムードも強まりそうだ。中国汽車工業協会が11日に発表した4月の新車販売台数は前年同月比4.4%増の207万台と、2018年6月以来22か月ぶりに前年同月実績を上回った。全体の7~8割程度を占める乗用車は前年割れが続いたものの、インフラ建設再開や買い替え補助金などにより、トラックなど商用車の販売台数が過去最高になった影響が大きかったよう。政府支援が需要を押し上げた格好と言え、政策効果の表れは投資家心理の支えとなりそうだ。
(マーケット支援部 井上)