12日の香港市場でハンセン指数の終値は3.65%%安の24309.07ptだった。節目の25000ptを大きく割り込み、2017年4月24日以来、およそ2年11カ月ぶりの安値だった。下落率は9日(4.23%)以来の大きさ。新型肺炎の感染拡大に対応して、香港時間の9時すぎにトランプ米大統領が英国を除く欧州からの渡航禁止措置を発表した。一方で経済対策に関する具体的な言及はなく、世界経済停滞への警戒感が香港市場でも一段と強まった。中国本土から香港株に投資する「港股通」(サウスバウンド・トレーディング)は、成約ベースで126億9900万HKドルの買い越しだった。
12日の米国市場でダウ平均は前日比2352ドル60セント(10.0%)安の21200ドル62セントで終えた。下げ幅は9日の2013ドルを上回り過去最大で、下落率は87年10月19日のブラックマンデー(22.61%安)以来の大きさだった。新型肺炎の感染拡大に歯止めがかかないことが経済活動の急激な停滞につながっており、世界景気の先行き懸念が強まった。
本日の香港市場は軟調な展開か。世界的にリスク資産を圧縮する動きが加速しており、落ち着きどころを探る展開が続きそうだ。一方で、中国では金融緩和への期待が高まっており、中国市場が強含みの動きとなれば、香港市場にも買いが波及する可能性はありそうだ。
(マーケット支援部 古谷)
売り買い交錯の展開か
12日の中国市場で上海総合指数は1.51%安の2923.4856ptで終えた。世界保健機関(WHO)が新型肺炎について「パンデミック(世界的な大流行)に当たる」と宣言し、前日の米国株が急落、各国の渡航制限などによる世界景気の減速も懸念され、売りが出た。一方、中国人民銀行(中央銀行)による金融緩和への期待は相場を下支えした。深セン成分指数も2.31%安の10941.01ptとなった。香港から中国本土株に投資する「滬股通(上海コネクト・ノースバウンド)」と「深股通(深センコネクト・ノースバウンド)」は、合わせて成約ベースで83億8000万元の売り越しだった。個別では、上海機場(600009)などが買い越しとなり、中国国旅(601888)、江蘇恒瑞医薬(600276)、ラックスシェア(002475) 、珠海格力電器(000651)、 貴州茅台酒(600519)、宜賓五糧液(000858)などが売り越しとなった。
中国の国家衛生健康委員会の米鋒報道官は12日の記者会見で、新型肺炎について中国で新たな感染者が減り続けていることから「中国での流行のピークは過ぎた」と述べた。新型コロナを調査している中国衛生当局の専門家チームのトップ、鍾南山氏は同日の記者会見で「中国以外から流入してくる感染者が問題だ」と話した。
中国では今週末から来週にかけて預金準備率引き下げと利下げを打ち出すとの期待が広がっており、下支え材料として意識されよう。一方で、市場で金融緩和だけでは新型肺炎のパンデミックが世界経済に及ぼす負の影響を押しとどめらず、思い切った財政出動が必要との見方が広がっている。中国政府による景気刺激策への期待が高まりそうだ。
(マーケット支援部 古谷)