11日の香港市場でハンセン指数の終値は0.63%安の25231.61ptだった。米国が新型肺炎対策で10日に給与減税など経済対策を発表したが、実現性に懐疑的な見方が広がり、NYダウ先物が下落し、香港市場にも売りが広がった。中国本土から香港株に投資する「港股通」(サウスバウンド・トレーディング)は、成約ベースで60億2100万香港ドルの買い越しだった。
11日の米国市場でダウ平均は前日比1464ドル94セント(5.9%)安の23553ドル22セントで終えた。新型肺炎の感染拡大が続くなか、トランプ政権の経済対策の実現性への不透明感が嫌気された。前日に政策期待から急騰したこともあって反動の売りが出た。
11日、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は世界で感染が広がる新型肺炎について「パンデミック(世界的な大流行)とみなせる」と表明した。中国以外での感染ペースが加速する現状に強い懸念を示し、各国に対策の強化を促した。
本日の香港市場は、WHO のパンデミック表明と米国市場の大幅下落を受け、軟調な展開を予想する。
ただ、湖北省政府が省内の一部企業の操業再開を認めると発表し、大企業を中心に感染対策を実施することなどを条件に再開を許可すると伝わっており、中国で唯一1月下旬から企業の休業が続いていた同省の制限緩和は投資家心理を和らげよう。
(マーケット支援部 飯田)
売り買い交錯の展開か
11日の中国市場で上海総合指数は0.94%安の2968.5174ptで終えた。NYダウ先物の下落に追随して、香港などアジアの主要株価指数が下げ幅を拡大し、取引終了にかけてリスクを回避する目的の売りが増えた。深セン成分指数も1.78%安の11200.05ptとなった。香港から中国本土株に投資する「滬股通(上海コネクト・ノースバウンド)」と「深股通(深センコネクト・ノースバウンド)」は、合わせて成約ベースで74億6500万元の売り越しだった。個別では、貴州茅台酒(600519)、宜賓五糧液(000858) などが買い越しとなり、中国国旅(601888)、江蘇恒瑞医薬(600276)、用友網絡(600588)、ラックスシェア(002475) 、珠海格力電器(000651)などが売り越しとなった。
武漢市で「中国や世界のサプライチェーンに大きな影響を与える企業」などについて感染対策を審査した上で再開を認め、武漢市以外では感染リスクに応じて業種を限定し、再開の許可を出すと伝わっている。
本日の中国市場は、米株安は懸念されるものの、下値圏では値ごろ感から買いも想定されよう。
(マーケット支援部 飯田)