9日の香港市場でハンセン指数の終値は4.23%安の25040.46ptと、2018年10月31日以来、約1年4カ月ぶりの安値となった。原油先物相場の急落を受けてリスク回避ムードが一段と強まり、リスク資産からの資金流出が目立った。中国本土から香港株に投資する「港股通」(サウスバウンド・トレーディング)は、成約ベースで78億1500万香港ドルの買い越しだった。
9日の米国市場でダウ平均は前日比2013ドル76セント(7.8%)安の23851ドル02セントで終えた。下げ幅は過去最大で、2019年1月上旬以来の安値。新型肺炎の世界的な感染拡大に加え、原油先物相場の急落で米エネルギー企業の業績悪化懸念が広がった。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は9日の記者会見で「パンデミック(世界的な大流行)の脅威が非常に現実味を帯びてきた」と述べた。世界経済が景気後退入りするとの見方が広がり、米債券市場で長期金利が一時0.31%と過去最低を更新した。
本日の香港市場は、米株安が相場の波乱要因になると予想され、売り先行の展開となろう。
ただ、ストックコネクトを通じた売買は買い越しが続いており、下値圏では個別銘柄の物色も想定されよう。
(マーケット支援部 古谷)
売り優勢の展開か
9日の中国市場で上海総合指数の終値は3.0%安の2943.2907ptと、この日の安値圏で取引を終えた。節目の3000ptを下回り、2/28日以来の安値だった。新型肺炎の世界的な感染拡大で、前週末の欧米株式相場が軒並み下落した。世界的な経済や金融市場の不安定化を警戒し、上海市場でも運用リスクを回避する売りが優勢となった。深セン成分指数も4.09%安の11108.55ptと大幅続落。香港から中国本土株に投資する「滬股通(上海コネクト・ノースバウンド)」と「深股通(深センコネクト・ノースバウンド)」は、合わせて成約ベースで143億1900万元の売り越しだった。個別では、ラックスシェア(002475) などが買い越しとなり、貴州茅台酒(600519)、江蘇恒瑞医薬(600276)、珠海格力電器(000651)、宜賓五糧液(000858)などが売り越しとなった。
本日の中国市場は下値を探る展開か。前日の米株安を受け投資家のリスク回避姿勢が続きそうだ。
本日は日本時間午前10時30分に中国の2020年2月消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)の発表が予定されている。
(マーケット支援部 古谷)