消費回復を受け内需関連株に注目、アップル関連も堅調推移
2021年は内需・消費関連株が主役になるだろう。安踏体育用品(アンタスポーツ、02020)は、健康重視のライフスタイルやスポーツブームが追い風。東京夏季五輪に加え、22年2月には北京冬季五輪が控える"オリンピックイヤー"だ。フードデリバリー最大手の美団(03690)やネット旅行大手の同程藝龍控股(00780)は、消費の本格回復の恩恵を受けそうだ。外食産業では、知名度抜群でリピーターも多い海底撈国際控股(ハイディーラオ、06862)を推したい。日本では想像しにくいが、中国では火鍋は"外食の王様"的存在だ。白酒セクターは高値警戒感が強まるだろう。もっとも、昨今の"国潮"ブームもあり、ストーリー性がある同セクターは根強い人気だ。アップル関連では、歌爾(002241)はAirPodsの受注・生産、立訊精密工業(002475)はiPhone組み立て参入などの情報で株価が一喜一憂しそう。
(上海駐在員事務所 奥山 要一郎)
産業インターネットが新たな主戦場、"アフターコロナ"の需要回復に期待
2021年も引き続きクラウド、IoT(モノのインターネット)など新型インフラ関連株が注目を集めよう。テンセント(00700)やアリババ集団(09988)などの巨大ハイテク企業は、消費者向けネット経済における優位な地位を固めながら、クラウドなど産業インターネットでの事業強化を急いでいる。中国当局は独占禁止法の厳格な運用に舵を切ったと思われるが、その狙いは産業の健全な発展、イノベーションの促進や公正な競争環境の確保にあると見る。見極める必要があるものの、厳格運用の影響は限定的と考える。また、米中ハイテク覇権争いの長期化懸念が払拭されない中、中国では国産化促進の動きが加速すると見られる。代替需要などで金山軟件(03888)のオフィスソフト事業は好調が続く見通し。舜宇光学科技(02382)は"アフターコロナ"の需要回復が見込めるほか、21年にアップルの新たなサプライヤーになる可能性も高いと予想する。
(東洋証券亜洲有限公司 キョウ 静傑 CIIA)
目が離せない免税店最大手、バイオ系もさらなる成長へ
免税店最大手(市場シェア9割)の中国旅遊集団中免(601888)に注目したい。同社は市場シェア約9割を誇り、海南島の「離島免税政策」の恩恵を受けている。昨年、海南島(海口と三亜)を視察し、現地の盛り上がりを実感してきた。2022年には東京ドーム約20個分の広さの「海口免税城」が完成予定。「リゾート+免税ショッピング」という新たな旅行スタイルも確立しそうだ。医薬面では研究開発力に強みを持つ江蘇恒瑞医薬(600276)を推したい。薬価引き下げ政策は短期的には企業利益を圧迫しそうだが、新薬の研究開発がこれまで以上に重要になりそう。バイオ医薬品の受託会社である薬明生物技術(02269)も有望株。20年10月時点での手持ち受注額は103億米ドルと前年末の2倍の規模だ。一方、不動産市場は引き締め政策が続くと見る。不動産価格も安定推移となり、企業業績に大きなサプライズはないだろう。
(上海駐在員事務所 孫 佳賢)
新エネ車関連で物色進むか、完成車メーカー&リチウム電池に注目
自動車セクターに注目している。2021年の市場全体の販売台数は4年ぶりのプラス成長が見込まれる。吉利汽車控股(00175)は、ボルボ・カーズとの合併本格化、科創板への重複上場、独ダイムラーとハイブリッド車(HV)分野での技術提携など話題も豊富。BYD(01211)にも注目。高級EV「漢」の人気が高く、自主開発の高性能車載電池「ブレードバッテリー」が脚光を浴びている。リチウムイオン電池分野では、独VWが出資する国軒高科(002074)を推したいが、不良債権の増加懸念が足かせになる可能性も。インフラ分野では三一重工(600031)を筆頭格に挙げたい。価格の優位性と高い技術力を武器にパワーショベルで中国シェア40%を目指す(直近では推定29%)。消費関連では、健康意識の向上と共に内蒙古伊利実業集団(600887)の存在感が高まりそう。乳製品最大手で、牛乳に加えヨーグルトにも強い。
(上海駐在員事務所 山藤 秋男)