都市封鎖の解除に伴い、中国では、宝飾品や外食等の高級財の消費が再び持ち直そう。特に、自動車と家電は政府が販売促進策を打ち出していることもあり注目される。
上海市は5/16に都市封鎖の段階的解除を発表、6月中下旬にかけて経済を正常化するとした。中国全土でも新規感染者数の減少に伴い都市封鎖が解除されよう。4月の小売売上高は前年同月比11.1%減と、大幅に落ち込んだが、今後は持ち直しが期待される。
消費は都市封鎖の反動を期待
商品別小売売上高をみると、コロナ禍からの回復期(20年後半~21年初頭)に宝飾品、外食、自動車等の高級財の売上高が、全体を上回る伸びを見せた。所謂「リベンジ消費」である。今回の都市封鎖の解除後は、政府は感染抑制のため引き続き旅行は控えるよう指示するとみられるものの、自宅周辺での買い物は20年後半と同様な消費行動が見込まれる。特に、自動車は人の密を避けた移動が可能となることに加え、政府が景気刺激策として自動車の購入税減税や農村での購入促進策を打ち出している。また、家電も政府が農村部での販売支援策を計画。
家電も高級品が人気
中国の家電生産をみると(販売統計がないため生産統計で代替)、20年のコロナ禍後に消費者が外出抑制時の食品備蓄のためか、フリーザーや冷蔵庫を購入したようだ。今回の上海での都市封鎖は約2カ月に及んだこともあり、再びフリーザーや冷蔵庫等の需要が強まることも考えられる。
また、コロナ禍以降、大手家電メーカーの売上の伸びは業界平均を上回る。家電購入でも高級志向がみられ、大手家電は消費者のニーズに合わせ、ブランドの確立や小型化等で対応しているようだ。
米国でも21年の家電販売の伸びは小売売上高全体の伸びを上回った。在宅勤務で家にいる時間が長いこともあり、家電の買い替え需要が増加しているようだ。今年に入ってからは供給網の停滞等から販売が伸び悩むが、都市封鎖の解除や供給網の改善に伴い再び高まろう。足元では元安も進んでおり、海外進出に積極的な家電メーカーの業績にはメリットが大きいと考える。
(投資情報部 白岩、CFA)