【世界市場の見通し】日米中共に神経質な展開も徐々に落ち着き処を探るか
5/16~5/20の世界市場は、日米中ともに神経質な展開も、徐々に落ち着き処を探るものと考える。
日本株式市場は、厳しい外部環境を背景に引き続き神経質な展開か。ただバリュエーションと業績面を踏まえると日本株の下値は限定的か。バリュエーション面では、NYダウの予想PER(QUICK予想)の19倍台に対し、日経平均の予想PER(同)は12倍台と相対的に割安と考えられる。業績面でもQUICKの集計(全上場企業、5/11時点)によれば、今期(23年3月期)の会社予想の純利益は前期比1.59%減で、概ね事前の想定通りの内容か。
米国株式市場は下落値幅がある程度出た印象があり、徐々に落ち着き処を探る展開か。米FOMCでパウエルFRB議長が75bpの利上げに対して否定的な見解を示したものの、物価高から実現性に疑問符がついている状況と考えられる。その後発表された4月の米CPIは前月比0.3%上昇と市場予想よりも高く、インフレ懸念の解消には至らなかったと考える。
中国株式市場は不安定な動きが継続するとみられるが、月内に底値をつける可能性もあろう。中国の貿易統計は輸入・輸出の前年比の伸び率はともに低水準で、中国景気の下振れを示唆するものとなった。その中でロシアからの輸入量が原油中心に前年比で大幅増となり、米中対立の深刻化が懸念される。5/16発表予定の小売売上高の市場予想は前年比6.2%減と低調な内容が予想され、ゼロコロナ政策の影響が顕著に表れそうだ。
(5/12朝記 投資情報部 藤本)
【日本株投資戦略】日本株の下値は限定的なものになると考える
5/16~5/20の日本株式市場は、厳しい外部環境を背景に引き続き神経質な展開か。ボラタイルな値動きを想定する。
米国では金利上昇やFRBによる積極的な金融引き締めを警戒し、足もと米国株が調整含みの展開となっている。また、中国ではゼロコロナ政策の下で、サプライチェーンの混乱や景気下振れリスクが意識されるなど、先行きに対する不透明感は強そうだ。
一時米主要3指数が揃って年初来安値を付けるという厳しい状況にあって、日本株だけが上昇することは困難か。もっとも、日経平均の予想PER(QUICK予想)が12倍台であるのに対し、NYダウの予想PER(同)は19倍台であり、日本株の下値(バリュエーションの調整余地)は限定的なものになると考えられよう。
5/13をピークに決算発表がほぼ一巡する。現在まだ数は少ないがQUICKの集計(全上場企業、5/11時点)によれば、今期(23年3月期)の会社予想の純利益は前期比1.59%減で、概ね事前の想定通りの内容か。
5/18に22年1~3月期GDPの速報値が発表される予定。QUICK集計(5/3時点)の実質GDP(前期比年率)の予測中央値は▲1.8%となっており、前回(21年10~12月期、同+4.6%)からマイナス成長に転じる見込み。新型コロナの感染者数が急増したことで個人消費が落ち込んだとみられ、景気を下押ししたもよう。1~3月期は新型コロナ感染拡大の第6波の時期であったことからマイナス予想に違和感はなく、淡々と織り込んで行くことになろう。
(5/11記 投資情報部 大塚)