「宇宙フィーバー」の再来
7/20、アポロ11号が人類初の月面着陸を達成してから50年の節目となった。そのような中で、世界的に宇宙開発熱が再び高まっている。
中国は1月に初めて月の裏側に探査機を着陸させる等台頭が著しく、今や米トランプ政権がライバルと目するほど。そしてインドは7/22に無人月探査機を打ち上げ、9月にも着陸させる見通し。日本では7/11に探査機「はやぶさ2」が小惑星「りゅうぐう」に世界初の再着陸と地中の砂や石の回収に成功。
一方、かつて人類初の偉業を成し遂げた米国は、「20世紀も21世紀も月に飛行士を送る最初の国は米国だ」と対抗意識を鮮明にし、月着陸計画「アルテミス」を打ち上げた。
民間の力で活気づく宇宙産業
世界的に官民を挙げて宇宙産業にリソースを注ぎ込む事例が散見されているが、今の状況を現出するのに大きな役割を果たしているのが民間企業とされている。
代表的なのがアマゾンのベゾス氏率いるブルーオリジンやテスラのマスク氏率いるスペースXといったようなベンチャー企業だ。日本でも、2013年設立のロケット開発スタートアップのインターステラテクノロジズ等が存在する。こうした企業はロケット打ち上げの低コスト化やロケットの再利用等を進めており、かつての官公需だった宇宙産業とは打って変わり、大きな民間需要が支える構図に転換した要因となったとされているようだ。
民間企業が宇宙産業に熱視線を送る主な理由の1つが、膨大なデータの利活用だ。中心分野とされる人工衛星は「宇宙からの目」として様々な分野で活用されている。例えば、衛星画像を用いた経済統計の信頼性検証や人工衛星を活用した渋滞対策の他、一部では農業や洪水対策への活用も見込まれている。宇宙ゴミ「デブリ」の除去に注目する企業もある。
力を秘める日本企業
相対的に出遅れている日本企業だが、巻き返しの動きは着実に整っている。
先述の「はやぶさ2」の快挙達成については、IHIやNEC、富士通、住友重といった様々な日本企業の叡智が結集されている。また、ソニーは家電技術を転用して小型衛星用の光通信機器を量産したり、国際宇宙ステーション(ISS)船外で民生用カメラとして世界初となる4K映像の撮影に成功している。加えて、2015年度に始まった宇宙航空研究開発機構(JAXA)による「宇宙探査イノベーションハブ」は、足もとで成果が出始めているようだ。
宇宙空間に日の丸が打ち立つ日が近付きつつあることが感じ取れよう。
主な関連銘柄(銘柄略称)
主な関連銘柄としては、モルフォ(3653)、NEC(6701)、富士通(6702)、ソニー(6758)、キヤノン電(7739)、ANA(9202)などが挙げられよう。
(マーケット支援部 山本)