Mobile World Congress 2019
2/28、スペイン・バルセロナで開催されていた世界最大のワイヤレスサービス展示会及び国際会議であるMobile World Congress(MWC)2019が閉幕した。
同イベントでのメインは次世代通信規格である「5G」。これまでは未来の話としてイメージが先行しているかの印象もあったが、今回は5G対応スマートフォンが展示されていたのに加え、「AR(拡張現実)」や「VR(仮想現実)」をはじめとした5Gを活用したサービスないし製品も展示された。
5G社会への踏切板が目の前に
5Gを体験するデバイスとして重要な5G対応スマホの発表が今回のMWCでは相次いだ。イベントに先立ってサムスンが発表したが、今回のイベントでは、ZTE、ファーウェイ、シャオミ、OPPOといった中国勢がいち早く5G対応スマホを発表。折り畳み式でスマホとしてもタブレットとしても使える一方で価格が20万円台前後となるなか、シャオミのものは約7万円と非常に安価なことも話題を呼んだ。
5G社会への突入が秒読み段階にあることを感じさせる発表はスマホだけではない。具体例を挙げれば以下の通りだ。
ファーウェイは5G対応の小型基地局設備を発表。従来は帯域ごとに分かれていたアンテナを一本化したことで、省スペース化等コスト削減に寄与するとのこと。
ノキアはインテル等と共同で映画「スパイダーマン」のVRゲームを試作。複数人が同時に遊んでも遅延の無い描画で再現可能とのこと。
マイクロソフトの発表した「ホロレンズ2」も話題を集めた。ARとVRの中間的な表示技術とされる「MR(複合現実)」を活用し、ディスプレーにCG(コンピューターグラフィックス)が現実空間に浮き上がって表示。装着者の視線を追跡するのに加え、手や指の動きもリアルタイムに把握でき、魔法のようにCGを操る動きが再現されている模様。
MobileからMultiな出展企業へ
もう1つ、MWC2019で注目すべきは出展企業の幅広さだ。先述したスマホメーカーに加えてドイツテレコムやNTTドコモ、ベライゾンといった通信事業者や、アンリツ、AMD、NXPセミコンダクターズのような部品関連、トヨタやフォルクスワーゲン、メルセデスベンツといった自動車系、さらにはアマゾンやマイクロソフト、グーグルといったクラウド事業者といった具合だ。また、AGC(旧旭硝子)やサノフィといった企業も出展しており、もはやMobileの枠に留まらない様相を呈している。
こうした出展企業の多様さが示唆するものは、5Gが「社会全体の基盤」として定着していく未来の何よりの証左かもしれない。
主な関連銘柄(銘柄略称)
主な関連銘柄としては、日本株では楽天(4755)、アンリツ(6754)、トヨタ(7203)、米国株ではアマゾン(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)、クアルコム(QCOM)、ベライゾン(VZ)、中国株では小米集団(01810)、中国移動(00941)などが挙げられよう。
(マーケット支援部 山本)