◆23年1~3月は下値切り下げの動きか
22年11月末の市民によるゼロコロナ政策に対する抗議活動を受け、政府は3年間続けたゼロコロナ政策を緩和した。無症状者等は自宅隔離も容認され、中国の規制は一段と日本等の規制に近付いた。これを受け、各地で感染拡大が進んでいる。23年1/21~27の春節の長期祝休日には多くの人々が旅行等に出るとみられ、かつ、中国のワクチンはファイザー等のmRNAワクチンよりも効果が低いことから、春節後の感染拡大が懸念される。政府は感染者がいるマンションや職場を封鎖するとみられ、実質的には都市封鎖に近い状況になろう。このため、23年1~3月のGDP成長率は前年同期比でマイナス成長に陥る可能性もあろう。
23年1~3月の株式市場は感染拡大に伴い下落を続けるとみられる。ただし、感染収束の兆しが出て来る、またはmRNAワクチンが承認されれば、株価は上昇へ転じよう。
◆23年後半は景気と株式市場の回復を予想
中国政府は23年前半にもmRNAワクチンを承認しよう。そうなれば、中国でもウィズコロナが一段と進むとみられる。外食や旅行等のサービス業を中心に消費が拡大し、景気を牽引しよう。また、政府が住宅取引規制の緩和や不動産会社への融資拡大を支援しており、新築住宅販売の更なる改善が見込まれる。住宅販売は裾野が広い産業だけに、景気回復に寄与しよう。一方、世界景気の減速を背景に輸出の伸びは鈍化が予想されるが、中国国内の在庫調整が23年初めには終了し年後半には積み増し期に入るとみられ、景気を押し上げると考える。
23年の成長目標は+5.0%前後に決定されよう。当社も+4.9%(22年+2.8%)を予想。なお、中央経済工作会議で政府は景気安定を最重視する姿勢を見せており、ウィズコロナ下の株式市場は上昇基調を維持しよう。
(12/21記 投資情報部 白岩)
紹介銘柄
百度集団(バイドゥ)(香港・09888/Z9041)
◆中国のネット検索最大手。クラウド、自動運転や動画サイトなども手掛ける。自動運転の特許出願件数では世界最多を誇る
◆22年7~9月期は前年同期比2%増収、同16%増益(Non-GAAP)と収益性が大きく改善。クラウドや自動運転などその他事業は同25%増収と好調。連結子会社の愛奇芸は同2%減収となったが、営業損益では黒字転換
◆自動運転の商業化を積極推進。レベル4技術に基づく自動駐車と自動運転ソリューションは、複数の自動車メーカーの量産車に搭載。重慶と武漢で中国初となる完全無人運転タクシーの商業展開を開始。傘下の上海冪航汽車は10月にEV「ROBO-01」の月探査限定版を公開
(東洋証券亜洲有限公司 キョウ)
内蒙古伊利実業集団(インナー・モンゴリア・イーリー)(上海A・600887/Z8454)
◆内蒙古自治区を拠点とする乳製品最大手。牛乳、粉ミルク、アイスクリームなど計1000余りの乳製品を製造・販売。8年連続でアジア乳業メーカートップ(売上ベース)
◆22年7~9月期は前年同期比6.7%増収26.5%減益。広告宣伝費など販売コストが約3割増加したことに加え、新型コロナの感染拡大に伴う商機逸失などが影響
◆免疫力アップを目的に衛生当局は1人1日当たりの乳製品摂取量を現状の300gから最大500gに増やすことを提唱。25年の乳製品市場規模は21年比19.2%増の8100億元になる見通し
◆春節の贈答品として乳製品が用いられることが多く、22年4Qの製品売上は前年同期比2桁増を見込む
(上海駐在員事務所 山藤)