12/12~16の中国株式市場は軟調な地合いを想定する。
12/1に習近平国家主席は欧州連合のミシェル大統領との会談の中で、中国で蔓延している新型コロナウイルスの致死率は比較的低いとの認識を示したようだ。12/7に発表された新型コロナの緩和措置では、「『高リスク地域』の指定は職場や建物単位で行い地区に拡大してはいけないこと、病院や学校等の例外を除きPCR検査の陰性証明を求めないこと、一部感染者は隔離施設ではなく自宅隔離も可能となること」等が盛り込まれた。各地では発表前からゼロコロナ政策の緩和が急速に進み、中国株式市場も人民元レートも堅調に推移していたため、緩和策の発表は材料出尽くしと受け止められたようだ。
また、12/7には11月の輸出入が共に前年同月比で大幅に減少したと発表されたことから、中国内外の景気に対する懸念が高まり、株価を更に押し下げた。輸出入の大幅減少は都市封鎖等の影響も考えられ、12月は改善するとみる。
12/15には11月主要経済指標が発表予定。11月貿易統計が示すように、新型コロナの感染拡大やゼロコロナ政策の実施により、経済活動は停滞したと見込まれる。利食いが出やすいタイミングだけに、株価は目先軟調地合いを想定する。ただし、中央経済工作会議で23年の景気回復に対する指針が示されれば、株価は再び上昇へ転じると考える。
(12/8朝記 投資情報部 白岩)
紹介銘柄
波司登国際(ボスデン・インターナショナル)(香港・03998/Z4692)
◆羽毛衣料の開発、生産などを手掛ける。17年からダウンジャケットにフォーカスする経営戦略に転換し、22.3期まで6期連続で二桁増収増益を実現
◆23.3期中間期は前年同期比14.1%増収、同15.0%増益。ダウンジャケット部門の粗利率は同2.2pt上昇の63.6%に改善。ECプラットフォームでのフォロワー数は同17%増加し、オンライン販売額は同29.6%増やした
◆22年1~9月期に中国アパレル業界の過剰在庫が問題となる中、在庫回転日数の前年同期比31日短縮で対応。「雪中飛」、「冰潔」などのミドルレンジブランド(100元~1000元台)販売が拡大し、OEM業務も前年同期比32.7%増と好調。ゼロコロナ政策の緩和で、経済リオープンに伴う消費回復が期待され、恩恵を受けそう
(投資情報部 呉)
アリババ集団(香港・09988/Z8924)
◆中国のネット通販最大手。クラウド(中国最大手)、フィンテックや物流なども手掛ける
◆7~9月期は前年同期比3%増収、同13%増益(Non-GAAPベースの純利益)。純損益は投資先評価損の大幅増などにより赤字転落。ネット通販の GMV(流通取引総額)は新型コロナ禍と競争激化により同1桁台前半の減少となったが、ネット通販セール「双11」期間は前年同期並みと回復基調にある。クラウドは同4%増収、調整後EBITAの黒字が継続
◆積極的な自社株買いを実施しており、取得枠を250億米ドルから400億米ドルに増額。香港プライマリー上場転換が実現すれば、中国マネーの流入による需給改善が期待できる
(東洋証券亜洲有限公司 キョウ)