7/25~7/29の中国市場はボラティリティが高まると見込む。
7/15に発表された4~6月GDP成長率は前年同期比+0.4%と、1~3月実績(同+4.8%)と市場見通し(同+1.2%、Bloomberg)を下回った。4月に新型コロナ感染の拡大で上海等で都市封鎖になったことが響いたようだ。同日発表された6月の経済指標は小売売上高を除き概ね市場予想通り。小売売上高は自動車等の高額商品の販売が好調で、前年同月比3.1%増と市場予想の同0.3%増を上回った。また、政府が力を入れるインフラ投資が同13.5%増(5月同8.3%増)と拡大した。政府の政策が奏功しているようだ。
一方、7/13に建設が中断している物件の購入者が住宅ローンの支払いを拒否していると報じられた。ローン不払い問題が新築住宅の購入者に影響を与える可能性があり、政府は緊急会議を開催し建設が中断しているプロジェクトの建設再開等の対応を協議しているようだ。迅速で大胆な対応となれば、市場は評価しよう。また、7/19には新型コロナ新規感染者が935人と5/21以降の高水準となった。今後、更に増加する可能性もあり、株価に影響を与える可能性がある。
7/25からの週は経済指標発表等のイベントはないものの、週次の新築住宅販売の動向や住宅ローン問題に対する政府の対策の発表等に株価は一喜一憂しよう。市場のボラティリティが高まる可能性がある。
(7/20記 投資情報部 白岩)
紹介銘柄
中国中鉄(チャイナ・レイルウェイ・グループ)(香港・00390/Z4719)
◆国有企業、フォーチュン誌「世界500社」では第35位、中国では第5位(21年)。インフラ建設、設計等を総合的に提供。中国の鉄道敷設距離の2/3以上を建設
◆ 21年通年は前年比10.1%増収、同9.6%増益。新規受注は同4.7%増。金融収益の増加もあり純利益は増加。22年1~3月期は前年同期比12.7%増収、同17.0%増益
◆政府のインフラ投資拡大で、今年1~3月の新規受注は同84.0%増。受注残は4.90兆元と21年売上高の約5年分と潤沢。技術開発にも注力し、通信大手チャイナ・ユニコム(00762)とデジタル化やインフラ分野で協力。独自開発の永久磁石磁気浮揚技術を利用したモノレールを7月に実験運行
(投資情報部 白岩)
江蘇恒瑞医薬(ジャンスー・ハンルイ・ファーマシューティカルズ)(上海A・600276/Z8425)
◆江蘇省連雲港に本拠を置く医薬品メーカー大手。売上高の5割以上を占める抗がん剤では中国最大規模
◆21年12月期は前年比6.6%減収28.4%減益と上場来初の減収減益。22年1~3月期も前年同期比20.9%減収17.3%減益と低迷。集中調達などの政策による薬価の引き下げが業績を圧迫。医薬品集中調達は年2回実施の見通し。値下げ圧力は続きそう
◆新薬開発や国際化に注力。22年6月末時点で同社の新薬11品目が市販許可を取得。これは中国医薬企業の中で最も多く、22年内にさらに3品目が許可される見込み。海外でも7品目が第三相臨床試験の段階。市販新薬増加に伴う業績改善に期待
(上海駐在員事務所 孫)