3月14日から18日の中国株式市場は、内外に懸念材料多く、不安定な展開継続となりそうだ。
中国の国会である全国人民代表大会が3月5日に開幕し、今年の政策を示す政府活動報告が発表された。今年の成長目標は+5.5%と市場予想の+5.0%を上回り、政府が景気の下支えに注力する姿勢が示された。政府は減税と税還付で2.5兆元(GDP比2.2%)を計画し、電気自動車や農村での省エネ家電の消費支援策を打ち出すようだ。李克強首相は閉幕後の記者会見で、「目標の実現は容易ではない」と引き締め、景気対策の効果などを丹念に見極めていく考えを示しており、政策期待は下支え材料となりそうだ。
一方で、中国本土内の新型コロナウイルス感染拡大は上値抑制要因となろう。中国広東省深セン市政府は13日、新型コロナウイルスの感染拡大により、14日から20日までロックダウン(都市封鎖)を実施すると発表した。人口1700万人の深セン市は、IT産業の集積地で、華為技術(ファーウェイ)や騰訊(テンセント、00700)といった国際的企業に加え、多数の日本企業も拠点を構えている。経済活動への大きな影響が懸念され、投資家センチメントを冷やしそうだ。
14日にサリバン米大統領補佐官と中国の外交を統括する楊潔篪共産党政治局員がローマで会談すると伝わった。米国と中国にとって、ロシアによるウクライナ軍事侵攻が始まってからでは初めてとなる高官の対面会談となる。バイデン政権は、危機を終わらせるためロシアに対する影響力を行使するよう引き続き中国に協力を求めており、注目が集まろう。
経済指標は15日に1~2月の主要経済指標が発表される予定。新築住宅販売の大幅な減少が見込まれる一方で、2月の購買担当者景気指数(PMI)が上昇したこともあり、企業活動の動向を示す鉱工業生産指数は12月からの改善が見込めよう。特に、政府が昨年末からインフラ投資の前倒しを進めているため、インフラ投資が固定資産投資の伸びを牽引すると見込まれる。
決算発表は15日に万華化学集団(上海A、600309)、平安健康医療科技(香港、01833)、17日に中国平安保険(香港、02318)、18日に中国電信(チャイナテレコム、香港、00728)、19日に用友網絡科技(上海A、600588)などが予定している。
(マーケット支援部 井上)
今週の主なスケジュール
13日(日)
北京冬季パラリンピック閉幕
14日(月)
米中高官の対面会談(ローマ)
15日(火)
1~2月の中国鉱工業生産、同小売売上高、同固定資産投資
決算=万華化学集団(上海A、600309)、平安健康医療科技(香港、01833)
16日(水)
10~12月期のNZ経常収支
決算=金蝶国際軟件集団(香港、00268)
17日(木)
2月の豪雇用統計
ラガルドECB総裁イベント参加
インドネシア中銀が金融政策発表
台湾中銀が金融政策発表
決算=李寧(香港、02331)、中国平安保険(香港、02318)
18日(金)
決算=中国電信(チャイナテレコム、香港、00728)、紫金鉱業集団(香港、02899)、新奥能源(ENNエナジー、香港、02688)、国薬控股(香港、01099)
19日(土)
決算=用友網絡科技(上海A、600588)