16日の香港株式市場は5営業日ぶりに反発した。ハンセン指数の終値は前日比54.74pt(0.23%)高の23,475.50ptだった。米中対立への警戒感や中国当局の規制強化懸念を背景に朝方は売りが先行した。だが指数が年初来安値圏で推移し、値ごろ感が意識されたため、売り一巡後は徐々に買いが優勢となった。自社株買いを発表したバイオ医薬の薬明生物技術(ウーシー・バイオロジクス、02269)が大幅高となった。中国のバイオ企業が米国の制裁リストに追加されるのではないかとの英紙報道を受け、前日に急落していたため、自律反発狙いの買いも入りやすかった。香港メーンボードの売買代金は1381億香港ドルだった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで40億7400万香港ドルの買い越しだった。
16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比29ドル79セント(0.1%)安の35,897ドル64セントで終えた。15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めに前向きな「タカ派」の姿勢を示したことが改めて警戒され、ハイテク株を中心に売りが出た。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反落し、前日比385.148pt(2.5%)安の15,180.435ptで終えた。前日の上昇分(327pt)を上回る下げ幅となった。
17日の香港株式市場でハンセン指数はもみ合いか。米国市場の流れを引き継ぎ、量的緩和縮小(テーパリング)の加速見通しにより、グロース株を中心に売りが先行しそうだ。ただ、節目の23,000ptに近づくと、下げ渋る動きが見られ、押し目買いが期待できよう。
(マーケット支援部 林)
もみ合いか
16日の中国・上海株式市場は3日ぶりに反発した。上海総合指数の終値は前日比27.3857pt(0.75%)高の3,675.016ptだった。前日の米国株相場などの上昇を背景に、リスクを取りやすくなった海外投資家の資金が中国市場にも流入するとの観測が高まった。中国政府の景気支援策への期待も根強く、指数は午後に上げ幅を拡大。この日の高値で引けた。香港とのストックコネクトを通じた海外投資家による中国株売買は買い越しだった。米金融政策の不透明感が払拭され、海外勢が中国を含む新興国株に買いを入れやすくなるとの思惑が強まった。前日の米市場で商品先物が高かったのを受け、資源・素材株が急伸。金融株や運輸株も上げた。一方、米国と中国の対立が深刻化するとの懸念はくすぶり、たびたび買いの手を鈍らせた。上海・深セン両市場を合わせた売買代金は1兆1135億元だった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで58億8500万元の買い越しだった。個別では、宝山鋼鉄(バオシャン・アイロン&スチール、600019)、牧原食品(ムーユエン・フーズ、002714)、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)などが買い越しとなり、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、北京兆易創新科技(ギガ・デバイス・セミコンダクター、603986)などが売り越しとなった。
17日の中国本土市場はもみ合いか。中国各地でのコロナ感染拡大による経済回復ペースの鈍化などが懸念され、市場全体の重荷になっているようだ。全体相場が動きづらい中、材料の出た個別銘柄を選別物色する動きが中心となろう。
(マーケット支援部 林)