11日の香港株式市場でハンセン指数は5営業日ぶりに小反落した。終値は前日比74.50pt(0.28%)安の26,226.98ptだった。中国当局によるネット規制を受けて時価総額上位の中国ネット株が連日で急落し、指数の足を引っ張った。指数が前日までの4日続伸で6%近く上昇していただけに、利益確定売りも出やすかった。ハイテク関連株で構成する「ハンセンテック指数」は大幅続落し、終値は6.23%安の7465.44ptだった。半面、新型コロナウイルスのワクチン実用化への期待は投資家心理を支え、ハンセン指数は小幅高に転じる場面もあった。金融株や不動産株、公益株、資源株などが買われた。香港のメーンボード(東証1部に相当)の売買代金は2674億香港ドルと2018年3月以来およそ2年8カ月ぶりの高水準。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、合わせて成約ベースで92億6900万香港ドルの買い越しだった。
11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに小反落し、前日比23ドル29セント(0.1%)安の29,397ドル63セントで終えた。ダウ平均は今月に入り前日までに2900ドル強上昇しており、短期的な過熱感を警戒した売りに押された。米ニューヨーク州のクオモ知事は11日午後、新型コロナウイルスの再拡大を受け、飲食店の営業規制を再び強化すると発表した。13日から午後10時の閉店を求める。同様の規制強化が他州でも広がれば経済回復が鈍るとの懸念から、ダウ平均は下げ幅を100ドル超に広げる場面があった。一方、景気敏感株への資金流出で下げていたハイテク株には値ごろ感からの買いが入った。低い実質金利は続くとの見通しや、長期的な成長期待も買いを後押しした。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は前日比232.575pt(2.0%)高の11,786.431ptと3日ぶりに反発した。
本日の香港株式市場は、ハイテク株の買戻しが入り、堅調な展開か。前日、中国当局によるネット規制に関する発表を受け、中国電子商取引最大手アリババ集団(09988)が9.8%安となり、下落率は2019年11月の香港上場以来で最大となった。またJDドット・コム(09618)、美団(03690)、テンセント(00700)なども大幅に下落した。短期的に売られ過ぎたネット関連株を買い戻す動きとなろう。
(マーケット支援部 床井)
方向感に乏しい展開か
11日の中国・上海株式相場は続落した。上海総合指数の終値は前日比17.9460pt(0.53%)安の3342.2025ptとなった。手掛かり材料に欠けるなか、短期的な過熱感のある銘柄への売りが優勢となった。ハイテク新興企業の上場が多い「科創板」や深セン「創業板」が大幅に下落したのも投資家心理を冷やし、上海総合指数は午後に入り下げ幅を拡大した。半導体のSMIC(00981)や電子機器製造のラックスシェア(002475)、などに売りが目立った。政策期待から急ピッチで上昇してきたBYD(01211)や長城汽車(02333)などの自動車株が大幅に下げた。上海と深センの売買代金は合計で8696億元と、前日から11%減少した。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで9億3000万元の売り越しだった。個別では、格力電器(000651)、ハイクビジョン(002415)、上海汽車集団(600104)などが買い越しとなり、宜賓五粮液(000858)、ラックスシェア(002475)、中国中免(601888)、江蘇恒瑞医薬(600276)などが売り越しとなった。
本日の中国本土株式市場は、方向感を欠く展開か。昨日10月の中国金融統計が発表され、人民元建て新規融資が前月実績から大幅に縮小し、市場予想を下回った。米ハイテク株高や原油・非鉄の市況高がプラス材料となる半面、金融統計の下振れはマイナス材料となることから方向感に乏しい展開か。
(マーケット支援部 床井)