29日の香港株式相場は3日続落。ハンセン指数の終値は前週末比248.71pt安の24,301.28ptと、15日以来の安値となった。中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会が、香港での統制を強める「香港国家安全維持法案」の審議を再開しており、30日にも可決するとの観測が強まったことで、米国の制裁拡大を招き、米中関係がさらに緊張するとの警戒感から幅広い銘柄に売りが出た。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで5億6900万香港ドルの買い越しだった。
29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発。前週末比580ドル25セント高の25,595ドル80セントで取引を終えた。主力小型機の運航再開の思惑で航空機のボーイングが急伸し、指数を押し上げた。市場予想を上回る米経済指標の発表を受け、新型コロナウイルスの感染再拡大にも関わらず景気持ち直しが続くとの見方が強まり、景気敏感株を中心に買いが広がった。
本日の香港市場でハンセン指数は反発か。前日の米株式相場が経済指標の改善を好感して大幅上昇したことで、香港市場も買い戻し優勢のスタートが見込まれる。一方で、「香港国家安全維持法」採決を巡る米中対立への警戒感は強く、利益確定売りが上値を抑える可能性は高そうだ。本日は日本時間10:00に中国の6月製造業・非製造業PMIが発表される予定。市場予想は両指標ともにほぼ前月並みの水準が見込まれている。明日(1日)は、香港特別行政区成立記念日により休場となる。
(マーケット支援部 井上)
ノースバウンド取引受付不可で、中国国内投資家の取引中心
端午節連休明け29日の中国本土株式市場は反落。上海総合指数の終値は前営業日の24日に比べ18.0341pt安の2,961.5164pt、深セン成分指数の終値は同61.169pt安の11,752.359ptだった。中国内外での新型コロナウイルスの感染が再度拡大するとの警戒が強まり、経済正常化が遅れるとの懸念から幅広い銘柄に売りが出た。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで14億4600万元の売り越し。個別では、美的集団(000333)、江蘇恒瑞医薬(600276)、内蒙古伊利実業集団(600887)などが買い越しとなり、宜賓五糧液(000858)、格力電器(000651)、貴州茅台酒(600519)、中国中免(601888)、三一重工(600031)などが売り越しだった。
本日の中国本土市場は、日本時間10:00発表予定の6月中国製造業・非製造業PMIの内容を受けての展開か。予想を上回る強い内容となれば、景気回復期待が高まろう。本日は現地取引ルールにより、ストックコネクト・ノースバウンド取引の受付が不可となるため、中国国内投資家の取引中心となる。
(マーケット支援部 井上)