28日の香港市場でハンセン指数の終値は2.42%安の26129.93ptと、約3カ月ぶりの安値となった。新型肺炎の感染拡大懸念を背景とした前日の欧米株安が波及した。ハイテク銘柄を中心に上海・深セン市場が大きく下落したことが投資家心理を悪化させた。中国本土から香港株に投資する「港股通」(サウスバウンド・トレーディング)は、成約ベースで37億8100万香港ドルの買い越しだった。
28日の米国市場でダウ平均は7日続落し、前日比357ドル28セント(1.4%)安の25409ドル36セントとほぼ9カ月ぶりの安値で終えた。新型肺炎の感染拡大で世界経済が停滞するとの懸念が一段と強まった。ただ、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が午後に発表した声明を受け早期の利下げの思惑が高まると、相場は下げ幅を縮めた。
中国国家統計局と中国物流採購聯合会が29日発表した2020年2月の中国製造業PMIは35.7と市場コンセンサス予想の46.0を大きく下回り、過去最低を更新した。また、2月の中国非製造業PMIは前月より24.5ポイント低い29.6だった。国家統計局は「新型コロナウイルスの感染が拡大した衝撃で、非製造業経済が全体的に落ち込んだことが鮮明となった」とコメントしている。
本日の香港市場は、米国株の7日続落と中国の低調なPMIの結果を受けて、売り先行の展開となろう。
一方で、中国政府からの景気刺激策に対する期待は高まると思われ、下値は限られよう。
本日は2020年2月の財新中国製造業PMIの発表が日本時間午前10時45分に予定されている。
(マーケット支援部 飯田)
売り先行の展開か
28日の中国市場で上海総合指数の終値は3.71%安の2880.3038ptと、3週間ぶりの安値を付けた。世界保健機関(WHO)が27日に新型肺炎について「パンデミック(世界的な大流行)になる可能性がある」と表明するなど中国国外での感染拡大が警戒され、世界景気の減速懸念からほぼ全面安となった。27日の欧米株の急落を受けて海外勢からも株式の持ち高を減らす動きが出た。深セン成分指数も4.80%安の10980.77ptと大幅反落となった。香港から中国本土株に投資する「滬股通(上海コネクト・ノースバウンド)」と「深股通(深センコネクト・ノースバウンド)」は、合わせて成約ベースで51億3700万元の売り越しだった。うち上海市場の売越額は36億500万元、深セン市場は15億3200万元だった。
個別では、上海機場(600009) などが買い越しとなり、貴州茅台酒(600519)、中国国旅(601888)、江蘇恒瑞医薬(600276)、三一重工(600031)、宜賓五糧液(000858)、ラックスシェア(002475)、珠海格力電器(000651)などが売り越しとなった。
本日の中国市場は、米株安と新型肺炎の感染拡大が中国のみならず世界景気に与える影響への警戒感の強まりから、売りが先行しそうだが、5G関連やオンライン医療・教育関連等の個別銘柄の押し目では注目が集まろう。
(マーケット支援部 飯田)