香港市場
【9月回顧】概ね下落基調で推移
香港市場は、米株式市場の下落や米中対立の激化懸念などにより、月初から概ね下落基調で推移した。ハンセン指数は21日に約3カ月ぶりの安値を付け、24,000ptを割り込んだ。一方、IPO市場は活況だった。米国で上場する中国企業の「香港回帰」の動きが再び顕著となったほか、中国の飲料メーカー大手である農夫山泉(09633)など大型上場も増えた。
個別銘柄では、電気自動車大手のBYD(01211)が大きく買われた。一方、違法なマネーロンダリング(資金洗浄)疑惑を報じられたHSBC(00005)は約25年ぶりの安値を更新した。
【10月見通し】米中関係、コロナ感染状況に注目
10月の香港市場は下値を固める展開か。
新型コロナ感染再拡大への懸念に加え、米大統領選を控えて、米中対立激化への警戒感が相場の重しとなろう。ただ、割安なバリュエーションと中国マネーの流入継続期待はサポート材料となりそう。大きく下落する場面があれば、そこは押し目買いの好機と捉えたい。中国フィンテック大手のアント・グループが早ければ中旬頃に香港と上海で同時上場する可能性も。IPO規模は史上最大級と見られており、投資家の注目を集めよう。
1日は国慶節、2日は中秋節の翌日、26日は重陽節の翌日で休場となる。
(9/25記:東洋証券亜洲有限公司 キョウ)
中国市場
【9月回顧】米中対立や外資の売りで下落基調
9月の中国市場で各指数は軒並み下落。上海総合指数は11日に約1カ月半ぶりの安値となる3,220ptまで売られた。深セン成分指数も同日に約2カ月ぶりの安値を付けた。米中対立が相場の重し。米国による半導体ファウンドリーのSMIC(688981)への制裁検討や、「TikTok」「微信(WeChat)」の使用禁止などを巡る動きが嫌気された。ストックコネクト経由での外資の売りも膨らんだ。売買代金は6000億~7000億元台の日が多く、総じて低調。科創板50指数連動型ETFの認可を受け、ハイテク株が一時買われたが、相場の押し上げ効果は限定的だった。
【10月見通し】新型インフラや内需関連株に注目
深セン成分指数:12,000~14,000pt
10月の中国市場で、上海総合指数は3,200pt前後、深セン成分指数は13,000pt前後でのもみ合いが継続しそう。米大統領選を前にした米中対立の激化懸念が重しとなろう。一方、政策期待も根強い。同月開催予定の中国共産党の5中全会では「第14次五カ年計画(2021~25年)」が議論される。新型インフラ建設や内需拡大などがテーマになると見られ、三一重工(600031)や順豊HD(002352)などの値動きを注視したい。同計画ではハイテク産業振興や社会のデジタル化推進も取り上げられそうだ。
1日から8日は中秋節・国慶節の祝日で休場。
(9/25記:上海駐在員事務所 山藤)