9月6日から7日にかけて、米国株式市場でアップル(AAPL)が連日の大幅安となった。時価総額は2日間で約1900億米ドル減少。背景には、①ファーウェイ(華為技術)の新機種投入、②中国政府によるiPhoneなど海外製スマホの使用規制観測、などがある。
①は、ファーウェイが8月末の「Mate60 Pro」に続き、9月8日に「Mate60 Proプラス」「Mate X5」の予約販売を開始したことを指す。いずれも5G対応とされ、回路線幅7nmの半導体チップを使用しているようだ。中国現地のスマートフォン(スマホ)市場はファーウェイの話題で持ち切りとなり、ネット上では「米国の半導体規制の壁を突破した!」と勇ましいコメントが並んだ。
②の発端は、中国政府が政府職員に対し、iPhoneなど海外製スマホの業務使用と職場への持ち込みを禁じたという報道だ(ウォール・ストリート・ジャーナル=WSJ、9月6日付)。これが国有企業全体に広がる可能性もある。
中国スマホ市場におけるアップルのシェアは16%(23年4~6月期)。ファーウェイが米規制を受ける前(20年以前)の10%程度からじわり伸ばしてきた。新機種販売時期などを考えず、仮に3%(pt)程度がファーウェイに"奪還"されるとなれば、単純計算で800万台ほど販売が減少すると見込まれる。
もっとも、これは机上の空論。9月12日(現地時間)に発表されたiPhone15は中国でも大きな話題で、アップル人気は健在だ。「スマホゲームはiPhoneの方が操作しやすい」「2台持ちのニーズが高い」という中国ならではの事情もあり、影響は限定的かもしれない。いずれにせよ、中国スマホ市場での争いが、年内はアップルや関連株の動向を大きく左右するだろう。