洋上風力の真価はいずこに
再生可能エネルギーの構成要素の1つであり、今後10年以内に1兆円市場になることが見込まれている洋上風力発電。これは基礎を海底に埋め込むか海上に浮かべるかで、「着床式」と「浮体式」の2つの方式に大別される。
今回は、日本の地理的要因等から非常に大きな導入ポテンシャルがあるとされている浮体式洋上風力発電について解剖したい。
なぜ「浮かぶ」ことができるのか
日本浮上の鍵となる可能性も
浮体式洋上風力発電は適用水深が50m∼200m程度とされ、着床式(50m以下)よりも遥かに広範な海域で運用し得ると推測できる。少し古いデータにはなるが、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が実施した調査(2011年度成果報告書 浮体式風力発電に関する基礎調査)では、浮体式は着床式の5倍にも及ぶ導入可能面積があるとされている。また、別の調査によれば、導入ポテンシャルは発電量ベースで原発200基相当と着床式の約3.3倍にのぼるという。
もちろん、建設コストや漁業関係者との権利調整等の課題解決の必要性はある。だが、日本の抱えるエネルギー事情や欧州を中心とした世界との比較から、浮体式洋上風力発電こそ、日本が主導権を握るべき領域であろう。
(マーケット支援部 山本)