グーグルが突如参入
3/20、米サンフランシスコで衝撃が走った。IT巨人グーグルがゲームサービスの年内開始を表明したのだ。同社が手掛けるのは「STADIA」という名のクラウドゲーミングサービス。ソフトをクラウド上で稼働させるため、ハードの性能に依存せずに高品質なゲームタイトルがプレイ可能になる。自社のデータセンターがゲーム機になる感覚のようだ。
ハードウェアメーカーには打撃?
グーグルのクラウドゲーミングサービスで最も打撃を受けそうなのが、ソニーや任天堂、マイクロソフトの手掛けるハードウェアだ。極端に言えばディスプレイとコントローラーさえあればハードウェアは必要無くなる為、ハードウェアの販売は頭打ちになる可能性があろう。さらに言えば、例えば、PS4で従来プレイしていたタイトルがスマートフォンでもプレイできるようになるため、ハードウェアからのユーザーの大規模流出が起こる可能性すらある。
もっとも、それを防ぐ術はあろう。クラウドゲーミングの問題として挙げられる遅延性ゆえだ。高品質なタイトルは処理すべき情報量も多い上、多人数が同時にプレイすると円滑な描画が難しくなる。これを大きく解決に導きうるのが次世代通信規格の5Gだが、その一般化には時間がかかるため、グーグルのSTADIAが定着するにも時間がかかろう。その間に流出を喰い止める有効な対策を講じれば、打撃を大幅に緩和できると思われる。
ソフトウェアメーカーには大きな商機?
一方で大きなビジネスチャンスが見込まれるのが、文字通りソフトウェアメーカーだ。クラウドゲーミングによって、普段ゲームをプレイしない人々がゲームに接する機会が増えることが見込まれる。他人のゲームプレイ動画を
ただスマホで視聴していた人々が手軽にゲームをプレイしてみるという未来が期待できる。
クラウドゲームの競争は激化する見込み
ゲーム市場は従来のハードウェア中心のバランス構造から一種の戦国時代に突入するかもしれない。グーグルのSTADIA以外にもマイクロソフトが自前のクラウドゲーミングサービスを準備する他、3/26にはアップルも同様のサービスの導入を発表。さらにアマゾン参入の観測もある。
加えて、ソニーや任天堂も何らかの対策を講ずるとすれば、文字通り熾烈な勢力争いが繰り広げられよう。ソフトウェアメーカーの囲い込みが重要となるかもしれない。
主な関連銘柄(銘柄略称)
主な関連銘柄としては、日本株では*CRI・MW(3698)、ソニー(6758)、任天堂(7974)、スクエニHD(9684)、米国株ではアップル(AAPL)、エレクトロニックアーツ(EA)、アルファベット(GOOGL)などが挙げられよう。
*CRI・MWは貸株注意喚起銘柄(3/28時点)
(マーケット支援部 山本)