移動に関するサービス「MaaS」
MaaSとは、Mobility as a Serviceの略称で、ICT(情報通信技術)を活用して交通をクラウド化し、マイカー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)を1つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念とされる。身近な例としては、バスの接近に合わせて信号を制御するPTPS(公共車両優先システム)が挙げられる。ただ、留意すべきは、MaaSは交通の円滑化にとどまらず、都市機能全体を最大化するものであるということだ。
社会を包括する「MaaS」
MaaSの具体的な事例としてまず挙げられるのが、カーシェアリングで、2017年末時点でのステーション数・ステーション車両台数は2016年末比でそれぞれ16.8%増・21.8%増と順調に増加しているとの一部試算があるのに加え、利用者数も2017年には100万人を突破した模様だ。
ただ、MaaSをクルマという枠で観ると本質を見誤ろう。実はMaaSは幅広い領域を包含するものである。経路案内、運行情報、予約・決済、ホテル・商業等の情報・手配、拡張旅行サービスといったものまで対象になっているのに加え、航空・海運・鉄道交通分野も視野に入っているようだ。
また、モビリティサービスプラットフォームには、ITシステムやメディア・小売、保険、貨物・流通、消費者向け電子機器、インフラとエネルギー、車両技術等垣根を越えた様々なモノが紐付けられ、まさに新しい社会の基盤となることが想定される。現に国土交通省によれば、MaaSによって見守りサービスや買い物支援の導入、過疎地域での貨客混載等多様な分野との施策連携が模索されているようだ。
先端技術が「MaaS」を本格化させる
MaaSの中核として意識されているのが自動運転をはじめとした先端技術だ。日本においてはMaaS普及の具体的施策において、自動運転やスマートフォンアプリによる配車・決済というキーワードが挙げられている。
何よりも重要な先端技術は5Gだろう。国内では2020年を目処に本格展開が予定されるが、この次世代通信規格が、完全自動運転やドローン配送には欠かせないとの指摘がある。
昨年に米ラスベガスで行われたCES(家電見本市)2018において、トヨタはモビリティサービス専用EV「e-Palette concept」を発表し、自動運転を見据え様々なサービスを提供する事業者に応じたモビリティサービスプラットフォームの構築を推進するとした。このように、先端技術によるMaaSの発展は、従来の視点では捉えきれない変化を及ぼすだろう。
主な関連銘柄(銘柄略称)
主な関連銘柄としては、パーク24(4666)、ブリヂストン(5108)、パナソニック(6752)、トヨタ(7203)、ゼンリン(9474)などが挙げられよう。
(マーケット支援部 山本)