4/29~5/10の中国株式市場は、労働節で本土市場が5/1~3に、香港市場が5/1のみ休場予定。休場が多いこともあり、個別物色の展開に留まろう。
11月に米大統領選挙を控え、米国による中国への圧力が強まっている。4/17にはバイデン政権は中国からの鉄鋼製品等の関税率を3倍に引き上げることを検討すると表明。また、米国政府の圧力を受け、メキシコ政府が中国企業に対する投資促進のための補助金交付を凍結したようだ。ただし、中国輸出の対米依存度は低下傾向にあり、中国株式市場では大きな反応が見られなかった。
4/30には4月購買担当者景気指数(PMI)が発表予定。4月前半の乗用車販売が不振で、かつ労働節の航空チケット予約がまちまちの状況。4月PMIの改善は難しいだろう。
足元では企業決算の発表が続く。4/22に発表された科大訊飛(002230)の23年通期の一時的損益を除く純利益は前年比72%減、24年1~3月は前年から赤字幅が拡大。生成AI関連投資拡大等を背景に利益率が低下した。また、4/23に発表の中国平安保険(02318)は投資収益が悪化し1~3月純利益は前年同期比4.3%減だったが、四半期比では黒字転換。
4/29~5/10の中国株式市場は労働節の長期祝休日や4月PMIの下振れで、方向感のない展開を見込む。そのような中、決算発表が続くこともあり、個別銘柄物色の展開が見込まれる。
(4/24記 投資情報部 白岩)
【紹介銘柄】
中国電信(チャイナ・テレコム、香港・00728/Z4063)
◆中国の通信事業大手。24年3月末時点のモバイル契約数は4億1165万件(そのうち、5G契約数は3億2872万件)、有線ブロードバンド契約数は1億9222万件、固定電話契約数は1億26万件
◆24年1~3月期は売上高が前年同期比3.8%増、EBITDAが同3.6%増、純利益が同7.7%増。個人向けと家庭向けのARPU(1契約当たりの月間平均収入)は各々前年同期比0.9%増の45.8元、同2.1%増の48.6元と緩やかに上昇
◆同社は株主還元強化の一環として、24年から3年以内で配当性向を75%以上へ引き上げる方針。予想年間配当に基づく26年までに予想配当利回りは7.7%以上(QUICK予想、4/24終値ベース)に達すると予想され、魅力的な水準にある
(参考)同社の産業デジタル化事業について
◆中国政府はデジタル経済を国策として強力に推進。中国信息通信研究院によると、中国のデジタル経済規模は32年に100兆元以上に拡大する見通し(22年は50.2兆元)。同社はクラウドなど産業デジタル化事業を新たな成長ドライバーに位置付けている。23年の産業デジタル化事業の売上高は前年比17.9%増加し、24年1~3月期も同10.6%増と二桁を維持している
(投資情報部 呉)