4/11~4/15の中国株式市場は落ち着き処を探る展開か。
4/5が解除期限であった上海の都市封鎖は当面市内全域で外出制限を続ける方針が決定した。都市封鎖後のウイルス検査で深刻な感染実態が明らかになっており、外出制限は長期化する可能性が指摘されている。上海は、中国のGDPの3.8%(2021年)を占める大都市。防疫体制の強化で生じた物流の混乱や消費の低迷など現状を考慮すると、中国国内のみならず世界景気に及ぼす影響は大きいと思われる。今後市場の注目はコロナ対策だけでなく、どのような景気テコ入れ策が打ち出されるかにも集まろう。要人発言等に市場が敏感に反応する場面も想定しておきたい。
米国上場の中国企業上場廃止リスクを巡っては、4/2に中国証券監督管理委員会(CSRC)や国家保密局などが共同発表した関連規定の修正案が中国側の事実上の譲歩と受け止められたようだ。中国は企業に機密情報を守るよう強く求めているため米国側の対応には注意が必要だが、リスクがひとまず後退したことで、関連銘柄の戻りにも注目が集まりそうだ。
経済指標では、4/11に中国の3月物価統計、4/13に同貿易統計が発表される予定。うち貿易統計は輸出入ともに伸び率鈍化が見込まれている。
(4/6記 投資情報部 井上)
紹介銘柄
京東集団(JDドットコム)(香港・09618/Z8957)
◆中国最大の小売企業(売上高ベース)。業務資本提携するウォルマートが大株主に名を連ねる
◆21年10~12月期は売上高が前年同期比23.0%増。販売費用と一般管理費の増加や持分法による投資損失の計上などにより赤字転落も、一時的な損益などを除くNon-GAAPベースの純利益は同49.4%増と好調だった。年間アクティブユーザー数は同20.7%増
◆中国の独占禁止法改正を受け、21年12月期の同社プラットフォーム出店第三者企業が大きく増加、関連業務の売上高は前年比34.9%増となった。3/13に子会社の京東物流(02618)が総合物流サービスを手がける徳邦物流(603056)の買収を発表し、物流事業の拡大に注力
(投資情報部 林)
大族激光科技産業集団(ハンズ・レーザー・テクノロジー)(深センA株・002008/Z8666)
◆電子製品や自動車など多岐にわたる業界に向け、マーキング、溶接、切断などのレーザー加工機の開発・製造・販売を手掛けるほか、ロボット事業も展開
◆21年12月期は前年比36.7%増収103.7%増益。プリント基板(PCB)専用設備は同84.6%増収、車載用電池産業向け設備事業は同631.5%増収と好調
◆2/28にPCB専用設備を手がける傘下の大族数控科技(301200)が深セン創業板へのスピンオフ上場を果たした。3/9に半導体装置メーカー子会社の大族光電設備のスピンオフ上場計画も発表し、実現すれば同社の企業価値増大につながろう。中国の「脱炭素化」政策を背景にした車載用電池向け設備分野の成長に期待
(投資情報部 林)