5日の香港株式市場でハンセン指数は反落した。終値は前日比382.59pt(1.64%)安の22,907.25ptと、2021年12月20日に付けた昨年来安値(22,744pt)に接近した。前日の米ハイテク株安に加え、ネット大手の先行きへの警戒が強まった。一部都市で事実上のロックダウン(都市封鎖)が続くことなどから中国景気への不安も高まり、ハンセン指数は午後に下げ幅を広げた。香港上場のハイテク関連銘柄で構成する「ハンセンテック指数」は3日続落し、終値は同4.62%安の5,323.47ptと、20年7月の指数算出以来の安値を更新した。下落率は21年7月以来の大きさだった。中国ネット大手の騰訊控股(テンセント、00700)が他社への出資を縮小しているとの見方が浮上し、中国出前アプリの美団(メイトワン03690)が1割下げるなどテンセントの出資企業にろうばい的な売りが広がった。比亜迪(BYD、01211)など自動車株を中心に消費関連に売りが出た。反面、米長期金利の上昇を手がかりに金融株は買われた。5日に上海市場に重複上場した中国携帯電話キャリアの中国移動(チャイナ・モバイル、00941)は大幅に上げた。香港のメーンボード(東証1部に相当)の売買代金は1553億香港ドル。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで24億600万香港ドルの買い越しだった。
5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比392ドル54セント(1.1%)安の36,407ドル11セントで終えた。上昇して始まったが、午後に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を受けて下げに転じた。米連邦準備理事会(FRB)が金融政策の正常化を前倒しで進めるとの見方が強まり、米長期金利が上昇。金利上昇で相対的な割安感が薄れたハイテクなど高PER(株価収益率)銘柄に売りが広がった。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続落し、同522.545pt(3.3%)安の15,100.174ptで終えた。
本日の香港株式市場は軟調な展開を継続しよう。米国市場でハイテク株が下げた流れが相場の重荷となりそうだ。ただ、割安感のある銘柄に買いが入れば下値は限られよう。
(マーケット支援部 床井)
投資家心理悪化で軟調継続か
5日の中国・上海株式市場は続落した。上海総合指数の終値は前日比37.1528pt(1.02%)安の3,595.1761ptだった。約2週間ぶりの安値。国内で新型コロナウイルスの感染拡大が続き、国外との往来規制が長引くとの懸念が根強かった。一部地域では事実上のロックダウン(都市封鎖)も実施中で、景気の先行き不安から売りが出た。中国当局の規制懸念も重荷となり、指数は午後に一段安となった。香港上場の国有通信大手、中国移動(チャイナ・モバイル、600941)が5日、上海市場に重複上場した。株価は次第に伸び悩み、終値は初値比8.1%安。売買代金は上海市場でトップだった。上海と深セン市場の売買代金は合計で1兆3051億元。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで30億4700万元の買い越しだった。個別では、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、内蒙古伊利実業集団(インナー・モンゴリア・イーリ・インダストリアル、600887)、国電南瑞科技(ナリ・テクノロジー、600406)などが買い越しとなり、北京兆易創新科技(ギガ・デバイス・セミコンダクター、603986)、立訊精密工業(ラックスシェア・プレシジョン・インダストリー、002475)、歌爾(ゴーテック、002241)などが売り越しとなった。
本日の本土株式市場は軟調か。中国国内で新型コロナウイルスの感染拡大が続き、当局が行動規制を続けていることに加え、ネット企業への規制強化への懸念もくすぶり、投資家心理に悪影響が広がっている。目先は軟調な地合いが続きそうだ。
(マーケット支援部 床井)