20日の香港株式市場は続落した。ハンセン指数の終値は前週末比447.77pt(1.93%)安の22,744.86ptと年初来安値を2日連続で更新し、約1年9カ月ぶりの安値となった。前週末の米株安や20日の中国・上海株の下落を受け、朝方から幅広い銘柄に売りが優勢となった。中国人民銀行(中央銀行)は20日朝方、実質的な政策金利に相当する優良企業向け融資の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)の1年物を1年8カ月ぶりに引き下げた。政策を評価する買いが入り指数は下げ渋る場面もあったが、かえって中国景気の減速懸念も意識され、再び下げ幅を広げた。中国電子商取引(EC)最大手のアリババ集団(09988)やネット通販の京東集団(09618)などネット大手が軒並み安。中国の不動産株が下落し、BYD(01211)など自動車関連や、中国石油天然気(ペトロチャイナ、00857)などの石油関連株も売られた。香港メーンボードの売買代金は1247億香港ドルと、前週末から2割ほど減った。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで38億800万香港ドルの買い越しだった。
20日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前週末比433ドル28セント(1.2%)安の34,932ドル16セントで終えた。世界的に新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染が拡大し、行動規制の強化などによる景気減速への懸念が高まった。国内外の景気の影響を受けやすい景気敏感株を中心に売りが優勢だった。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も3日続落し、前週末比188.738pt(1.2%)安の14,980.944ptで終えた。
21日の香港株式市場でハンセン指数は続落か。米国市場下落の流れを引き継ぎ、売りが先行しやすい動きとなりそうだ。また、19日実施された立法会(議会)選挙の投票率は過去最低となり、親中派が圧勝した。それにより、政治リスク回避姿勢を強める海外投資家などの売りが膨らむ公算が大きいと思われる。
(マーケット支援部 林)
続落か
20日の中国・上海株式市場は続落した。上海総合指数の終値は前週末比38.7619pt(1.06%)安の3,593.6019ptだった。6日以来2週間ぶりの安値を付け、心理的節目の3,600ptを下回った。中国景気の減速懸念がくすぶるなか、投資家が運用リスクを回避する姿勢を強めた。中国人民銀行(中央銀行)は20日に最優遇貸出金利の1年物を0.05%引き下げ、3.80%に設定した。もっとも下げ幅は前回の利下げ時などと比べて小さく、5年物のLPRは据え置いた。指数は発表直後に上げに転じる場面もみられたが、買いの勢いは続かず、引けにかけて下げ幅を広げた。バッテリーや新エネルギー関連、リチウム、自動車株が安い。半導体や電子部品関連、ソフトウエアなどのハイテク株が売られた。石油や石炭、電力、観光関連、医療サービス株も下落した。半面、不動産や建設関連、酒造株が堅調だった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで9億7100万元の売り越しだった。個別では、立訊精密工業(ラックスシェア・プレシジョン・インダストリー、002475)、歌爾(ゴーテック、002241)、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)、などが買い越しとなり、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)などが売り越しとなった。
21日の中国本土市場は続落か。最優遇貸出金利の引き下げにより、経済回復ペースの鈍化などが懸念され、市場全体の重荷になっているようだ。また、米政府のチベット調整官任命などにより、米中関係悪化の懸念も高まり、海外投資家の動きに注目が集まりそうだ。
(マーケット支援部 林)