8日の香港株式市場は小幅に続伸した。ハンセン指数の終値は前日比13.21pt(0.05%)高の23,996.87ptだった。前日の米株高や原油先物相場の上昇を背景に投資家心理が改善した。一方で、時価総額の大きい中国電子商取引(EC)最大手のアリババ集団(09988)が同4.7%安となり、指数の重荷となった。投資家の様子見姿勢は強く、商いは低調で、指数は方向感を欠く展開が続いた。香港メーンボードの売買代金は1161億香港ドルと前日から2割強減った。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで24億5900万香港ドルの買い越しだった。
8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に3日続伸し、前日比35ドル32セント(0.1%)高の35,754ドル75セントで終えた。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染拡大への懸念が後退し、消費関連株に買いが入った。ただ、足元で大きく上昇した後とあって、目先の利益を確定する目的の売りも出て上値は重かった。個別では、スマートフォンのアップルが2%上昇し、連日で上場来高値を更新した。ハイテク株が多いナスダック総合株価指数は3日続伸し、同100.072pt(0.6%)高の15,786.988ptで終えた。
本日の香港株式市場は一進一退の展開か。前日の米株式市場で主要株価指数が上昇した流れを引き継ぎ買い先行で始まろう。ただ、ハンセン指数は心理的節目の24,000ptを前に上値の重さも意識されやすく、利益確定目的の売りが上値を抑えよう。
(マーケット支援部 床井)
不安材料あるも、規制懸念の後退や政策期待が支えか
8日の中国・上海株式市場は続伸した。上海総合指数の終値は前日比42.4793pt(1.18%)高の3,637.5675ptだった。約2カ月半ぶりの高値。朝方は下げる場面もあったが、景気テコ入れに向けた中国当局の相次ぐ政策変更が評価され、買いが入った。国内投資家に加え海外勢の資金流入も目立ち、指数は大引けにかけて一段高となった。貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)が同4%上げ、約5カ月ぶりの高値をつけ、他の酒造株にも買いが広がった。上海と深セン市場の売買代金は合計で1兆1015億元だった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで96億8500万元の買い越しとなった。買い越し額は10月下旬以来の多さとなった。個別では、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、北京兆易創新科技(ギガ・デバイス・セミコンダクター、603986)などが買い越しとなり、内蒙古伊利実業集団(インナー・モンゴリア・イーリ・インダストリアル、600887)、立訊精密工業(ラックスシェア・プレシジョン・インダストリー、002475)などが売り越しとなった。
本日の中国本土株式市場は続伸か。中国政府が2022年の主要経済目標から「独占禁止や資本の無秩序な拡大の防止」を削除したと伝わり、当局の規制懸念がやや後退している。また、中国人民銀行(中央銀行)は預金準備率の引き下げに続いて農業・中小企業向けの再貸出金利の引き下げも打ち出した。中国不動産大手のデフォルト(債務不履行)問題の不安材料はあるものの、規制懸念の後退や政策期待が相場を支えよう。
本日は、日本時間10:30に11月の消費者物価指数(CPI)、卸売物価指数(PPI)が発表される予定。
(マーケット支援部 床井)