11月22日から11月26日の香港・中国本土株式市場は好悪材料混在する中、方向感の乏しい展開か。
11月15日に発表された10月の主要経済指標は投資以外の指標が市場予想(Bloomberg)を上回り、景気が緩やかに持ち直していることを示した。半導体不足の緩和を背景にしてか、自動車生産のマイナス幅が縮小し、消費や生産を押し上げたとみられる。電力不足については、10月は発電量の伸びが若干鈍化したが、電力や熱の供給では二桁増となった。11月8日には9割の地域で電力需給が正常化したと報じられており、今後は改善が期待される。また、新築住宅販売は床面積ベースで前年比24%減と大幅に減少したが、週ベースの販売状況をみると、足元でマイナス幅が縮小している都市も見られる。
11月16日にはオンライン形式での初の米中首脳会談が開催された。3時間以上に及ぶ会談では、両首脳は多くの点で食い違いを見せたが、共に友好ムードを演出、米中が平和的に物事を解決するために「共通認識を作る」必要がある点では一致した。一方で、バイデン米大統領は18日、22年2月の北京冬季五輪に選手団以外の外交使節団を派遣しない「外交的ボイコット」を検討していると明らかにした。首脳会談後に関係改善への期待感が高まった米中関係だが、まだまだ交渉の行方を見極めたいといったムードは続きそうだ。
政策面では、巨大ネット企業などのプラットフォーマーへの「データ税」導入観測が伝わっており、注目が集まりそうだ。習近平(シー・ジンピン)指導部が掲げた所得再分配を促す「共同富裕」のスローガンのもと、巨額の収益を上げるネット大手に利益を還元させるべきだとの圧力が強まっているよう。ネット企業を巡る政策については、独禁法の規制を受けたアリババ集団(09988)の7~9月期決算が市場予想を下回り、先週末の香港市場で株価が10%を超える下落となるなど、その影響度合いを巡る市場の警戒感は根強いと思われる。中国商務省などは10月末、「第14次五カ年電子商取引発展計画」を公表した際に、20年に37兆元(約650兆円)に達したネットサービスによる取引額を、25年には46兆元まで引き上げる目標を掲げると同時に共産党によるネット業界の統制をさらに強化していくと明記した。海外投資家の投資姿勢等含め、今後もその動向に注目する向きは多そうだ。
株価指数を運営するハンセン・インデックシズは19日、四半期ごとに行っているハンセン指数の構成銘柄見直しの結果を公表した。4銘柄を採用し、構成銘柄数を現在の60から64に増やすようだ。採用された華潤ビール(00291)、新奥能源(02688)、JDドットコム(09618)、ネットイース(09999)などの動きに注目が集まりそうだ。
今週は27日に中国10月工業部門企業利益が発表される予定。市場では前年比16.3%の増益が見込まれている。決算発表では、22日に同程藝龍控股(トンチェン-イーロン・ホールディングス、00780)、23日に快手科技(クワイショウ・テクノロジー、01024)、小米集団(シャオミ、01810)、小鵬汽車(シャオペン、09868)、24日に阿里健康信息技術(アリババ・ヘルス・インフォメーション・テクノロジー、00241)、26日に美団(メイトゥアン、03690)が決算発表を予定している。
(マーケット支援部 井上)
今週の主なスケジュール
27日 中国10月工業部門企業利益(前年比)
主な決算発表予定
22日 同程藝龍控股(トンチェン-イーロン・ホールディングス、00780)
23日 快手科技(クワイショウ・テクノロジー、01024)、小米集団(シャオミ、01810)、小鵬汽車(シャオペン、09868)
24日 阿里健康信息技術(アリババ・ヘルス・インフォメーション・テクノロジー、00241)
26日 美団(メイトゥアン、03690)