10日の香港株式市場は続伸した。ハンセン指数の終値は前日比183.01pt(0.73%)高の24,996.14ptだった。中国本土の不動産株が引けにかけて急伸し、投資家心理が上向いた。指数への寄与度が大きく、10日夜に決算発表を控える騰訊控股(テンセント、00700)も大幅高となり、指数を押し上げた。中国メディアの証券時報の報道によると、一部の不動産企業が中国規制当局との会合を開き、銀行間債券市場で社債を発行する計画を明らかにしたという。アジア時間10日午前から報じられていた内容ではあったが、本土不動産企業の資金繰り改善につながるとの見方が徐々に広がった。一方でインフレへの警戒感から、朝方は売りが優勢となる場面もあった。10日に発表された中国の卸売物価指数(PPI)は前年同月比の上昇率が過去最大となった。ハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数は大幅に続伸し、2.05%高で終えた。香港メーンボードの売買代金は1362億香港ドルと、前日から4割弱増えた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで15億5500万香港ドルの買い越しだった。
10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比240ドル04セント(0.7%)安の36,079ドル94セントで終えた。朝方発表の10月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想以上に上昇し、インフレ懸念が改めて強まった。米長期金利が上昇し、金利が上昇すると相対的な割高感が意識されやすい高PER(株価収益率)のハイテク株を中心に売られた。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続落し、前日比263.838pt(1.7%)安の15,622.705ptで終えた。一方、アナリストが目標株価を引き上げた電気自動車のテスラは同4%高となった。
本日の香港株式市場は前日終値近辺でもみあいか。前日の米国株式市場で主要指数が下落した流れを引き継ぎ安く始まるとみられるも、ハンセン指数は安値圏にあるため下値は限定的であろう。一段と下げる場面があれば、押し目買いのチャンスと捉えたい。
本日は、中国では年間最大のネット通販セール「独身の日」。今年はアリババ集団(09988)が毎年恒例であるセールの取扱高の速報を公表しないようだが、企業にとっては年間最大の稼ぎ時であり、関連銘柄に注目が集まろう。
(マーケット支援部 床井)
底堅く推移か
10日の中国・上海株式市場は3営業日ぶりに反落した。上海総合指数の終値は前日比14.5402pt(0.41%)安の3,492.4616ptだった。取引開始直後に発表の中国の10月の卸売物価指数(PPI)の前年比上昇率が過去最大となり、消費者物価指数(CPI)とともに市場予想も上回った。物価高による企業収益や景気への悪影響を警戒する国内投資家の売りが出た。上海と深セン市場の売買代金は合計で1兆801億元。前日から小幅に増え、14日連続で節目の1兆元を上回った。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで118億1000万元の売り越しとなり、約3カ月半ぶりの大きさとなった。個別では、内蒙古伊利実業集団(インナー・モンゴリア・イーリー・インダストリアル、600887)、宝山鋼鉄(バオシャン・アイロン&スチール、600019)などが買い越しとなり、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、江蘇恒瑞医薬(ジャンスー・ハンルイ・ファーマシューティカルズ、600276)、珠海格力電器(グリー・エレクトリック・アプライアンシズ・オブ・ヂューハイ、000651)などが売り越しとなった。
本日の中国本土株式市場は底堅く推移か。経営危機に陥っている中国不動産開発大手・中国恒大集団(チャイナ・エバーグランデ、03333)は期限が過ぎていた3本の社債の金利を一部の債権者に支払ったとブルームバーグより報じられた。楽観視はできないものの過度な警戒感は和らいだと言えよう。指数は、弱いなりにも底堅く推移するだろう。
(マーケット支援部 床井)