8日の香港株式市場でハンセン指数は続伸した。終値は前日比136.12pt(0.55%)高の24,837.85ptと、9月17日以来、3週間ぶりの高値を回復した。8日に取引を再開した中国・上海株が上昇して終え、買い安心感が広がった。8日に再開したストックコネクト取引を通じた中国人投資家の香港株売買(サウスバウンド行き)が買い越しとなり、本土投資家の香港株買いが続いているとの安心感につながった。本土株の運用が多い中国の保険株が大幅に上げた。石油株も総じて高かった。香港上場のハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数も上昇し、同0.56%高の6,206.77ptで終えた。香港のメーンボードの売買代金は1633億香港ドルと、9月23日以来の高水準だった。
8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日ぶりに小反落し、前日比8ドル69セント安の34,746ドル25セントで終えた。9月の米雇用統計で雇用者数の増加幅が市場予想を下回り、労働市場の回復が鈍化しているとの見方から売りが出た。一方、失業率は市場予想以上に改善した。米経済の先行きや米連邦準備理事会(FRB)の金融政策を巡る見方が交錯し、総じて方向感に乏しい相場展開だった。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も4日ぶりに反落し、前日比74.479pt(0.5%)安の14,579.537ptで終えた。
11日の香港市場は神経質な展開か。中国政府は8日、民間企業が報道事業を手がけることを禁止する案を公表した。どこまでを指すのかは微妙で、運用も恣意的なものなると思われるものの、国家発展改革委員会の公式案では「民間企業に新聞、通信社、出版、テレビ、ネットニュースなどでの取材・編集を認めない。政治、経済、軍事、外交、重要な社会問題、文化、科学技術、衛生、教育、スポーツなどのほか、世論を導く実況中継を手がけることも許さない」と明記されており、報道を受けた海外投資家の反応は気になるところだ。一方で、テック系銘柄の動向にも注目が集まろう。中国の規制当局が8日、食品宅配最大手の美団(メイトゥアン、03690)に独占禁止法違反で約34億4200万元(約590億円)の罰金を科す決定を出したと伝わった。まだ滴滴出行(ディディ)の処分が残っているが、昨年来のテック系への締め付けが一息ついた感じもある。好悪材料が混在しており、神経質な展開となりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
方向感に乏しい展開か。海外投資家の動向に注目が集まりそうだ
国慶節(建国記念日)に伴う大型連休が明けた8日の中国・上海株式市場は続伸した。上海総合指数の終値は前営業日の9月30日比23.9998pt(0.67%)高の3,592.1666ptだった。連休中の中国国内の消費活動の回復を受け、朝方から投資家が運用リスクをとる姿勢を強めた。もっとも、資源価格の上昇による電力供給への不安などは相場の上値を抑えた。観光関連や運輸株が高く、保険や石油、酒造株が買われた。
半面、電力や石炭、鉄鋼株が安い。希土類(レアアース)関連や、軍事関連株も売られた。上海・深セン両市場を合わせた売買代金は1兆606億元と前営業日(9504億元)から1割ほど増え、節目の1兆元を2営業日ぶりに上回った。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで25億7200万元の売り越し。個別では、内蒙古伊利実業集団(インナー・モンゴリア・イーリー・インダストリアル、600887)、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)、美的集団(ミデア・グループ、000333)、立訊精密工業(ラックスシェア・プレシジョン・インダストリー、002475)などが買い越しとなり、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)などが売り越しとなった。
11日の中国本土市場は方向感に乏しい展開か。中国政府の民間企業報道事業禁止案を受け、海外投資家の動向が注目されそうだ。また、中国政府が電力不足の緩和に向けて石炭増産に乗り出したと伝わっており、景気後退懸念の解消が期待される一方で、その影響度合いを見極めつつ銘柄を選別する動きも進みそうだ。
(マーケット支援部 井上)