29日の香港株式相場は小幅に続伸した。ハンセン指数の終値は前週末比1.87pt高の28,338.30ptだった。29日の上海株式相場が堅調に推移し、投資家心理の支えとなった。香港市場でも石油や不動産など中国本土銘柄を中心に買いが入った。一方で、米投資会社のアルケゴス・キャピタルの取引に関連した金融機関の損失などに対する警戒感もくすぶっており、相場の上値を抑えた。また、ハイテク株の下げも目立った。関連銘柄で構成するハンセンテック指数は大幅に反落し、前日比1.82%安だった。
29日に香港市場に新規上場した中国動画配信のBilibili(ビリビリ、09626)は、公開価格(808香港ドル)と比べて1.0%安い800.00香港ドルで終えた。
香港メーンボードの売買代金は1903億香港ドルと、前週末から3%程度増えた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで9億3500万香港ドルの買い越しだった。
29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸した。前週末比98ドル49セント(0.3%)高の33,171ドル37セントで終え、連日で過去最高値を更新した。新型コロナウイルスのワクチン普及に伴う経済活動の正常化期待から主力株に買いが入った。主力小型機の受注が伝わった航空機のボーイングが上昇し、ダウ平均を押し上げた。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落した。前週末比79.078pt(0.6%)安の13,059.647ptで終えた。
本日の香港株式市場は一進一退か。前日の米国株式市場の上昇を引き継ぎ、高く始まると見られる。ただ、上値を伸ばしきれず、上値が重い展開になる可能性はあろう。個別銘柄は決算発表を手掛かりにした売買となりそうだ。
(マーケット支援部 床井)
上値の重い展開か
29日の中国・上海株式相場は続伸した。上海総合指数の終値は前週末比16.9691pt(0.49%)高の3,435.2958ptだった。22日以来およそ1週間ぶりの高値を付けた。前週末の海外商品相場の上昇などを背景に資源・素材株をはじめ大型株に買いが入った。企業業績の好調さも意識され、指数は堅調に推移した。27日発表の中国の1~2月の工業企業利益の大幅増加や、発表が集中している企業業績の好調などを受けて業績優良銘柄を物色する動きも再燃し、時価総額上位の酒造の貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)が上げた。金融株やインフラ関連、公益株も高かった。製紙株は、スエズ運河の事故を背景に紙の需給が逼迫するとの観測が浮上したことが手がかりとなった。一方、ハイテク株には株価の先行き懸念がくすぶった。上海の新興企業向け市場「科創板」の50銘柄で構成する「上証科創板50成分指数」は前日比0.46%安の1,250.7696pt、深センの新興企業向け市場の創業板指数は同0.41%安の2,733.963ptでそれぞれ終えた。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、成約ベースで58億4300万元の売り越しだった。個別では、北京東方雨虹防水技術(ベイジン・オリエンタル・ユーホン・ウォータープルーフ・テクノロジー、002271)、隆基緑能科技(ロンギ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、三一重工(サニー・ヘビー・インダストリー、600031)などが買い越しとなし、立訊精密工業(ラックスシェア、002475)、歌爾(ゴーテック、002241)、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)などが売り越しとなった。
本日の中国本土株式市場は前日の好地合いを引き継ぐ流れか。特定銀行の預金準備率が間もなく引き下げられるとの観測が流れている。景気期待も持続。世界銀行は26日、最新のGDP成長予測を報告し、中国は2020年実績の2.3%から21年の8.1%に急上昇するとの見通しを示した。ただ、中国と西側諸国の対立が警戒される中で上値は重い可能性はある。
(マーケット支援部 床井)