14日の香港株式市場でハンセン指数は反落。終値は前日比294.23pt安の25,477.89ptだった。香港内外で新型コロナウイルスの感染が再び拡大し、景気減速懸念が強まった。前日の米国市場でハイテク株が売られたことも過熱感の出ていた中国ネット株への利益確定売りを誘い、相場の重荷となった。朝方に発表された中国の6月貿易統計は前月から改善したが相場の反応は限られた。香港政府が13日に、新型コロナの防疫措置としてマスク着用の義務付けや夜間の外食禁止、集会制限の強化などを発表したことを受け、域内の景気減速懸念から金融株や消費関連、香港の公益株などに売りが出た。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで65億6800万香港ドルの買い越しだった。
14日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸。前日比556ドル79セント高の26,642ドル59セントで取引を終えた。決算発表シーズンの本格化を前に、これまで相場上昇をけん引してきた主力ハイテク株が短期的な利益確定売りに押された一方で、相対的に出遅れていた資本財や石油など景気敏感株に買いが広がった。
本日の香港市場でハンセン指数は好悪材料入り混じる中反発を予想。前日の米ダウ工業株30種平均が大幅高となったことが追い風となろう。米株式市場では建機のキャタピラーや資源関連のシェブロンなど、業績が景気変動の影響を受けやすい銘柄の上昇が目立っており、香港市場でも景気敏感株への買いが先行しそうだ。また、ワクチン開発を材料に時間外取引で米株価指数先物取引が堅調な動きとなっていることも投資家心理の支えとなりそうだ。一方で、香港情勢を巡る中国と米英との対立激化懸念には注意が必要か。14日、トランプ米大統領は香港への優遇措置を撤廃する大統領令に署名したと伝わったほか、英政府は、中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)を次世代通信規格「5G」通信網から排除すると発表した。中国の反発は必至で、香港情勢をめぐる対立が一段と悪化する可能性はあろう。海外投資家の買い控え要因となる可能性は留意しておきたい。
(マーケット支援部 井上)
利益確定売りをこなしながらのもみ合い展開を予想
14日の中国本土株式市場は反落した。上海総合指数の終値は、前日比28.6677pt安の3,414.6186pt、深セン成分指数の終値は同152.680pt安の13,996.464ptだった。上海総合指数は13日に年初来高値に迫る水準まで上昇していたため、14日は短期的な過熱を警戒した売りが優勢となり、一時は節目の3,400ptを割り込む場面も見られたが、中国経済の回復期待は根強く、押し目買いが入り大引けにかけ下げ幅を縮めた。上海市場と深セン市場を合わせた売買代金は1兆7000億元と7営業日連続で1兆5000億元を突破した。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで173億8400万元の売り越し。個別では、ハイクビジョン(002415)、江蘇恒瑞医薬(600276)、伊利実業集団(600887)、恒生電子(600570)が買い越しとなり、宜賓五糧液(000858)、格力電器(000651)、ラックスシェア(002475)、貴州茅台酒(600519)、中国中免(601888)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場で主要株価指数はもみ合いか。昨日のストックコネクトを通じた海外投資家の売り越し額は173億8400万元となり、今年3月9日の売り越し額143億1900万元を上回り1日として過去最高となった。足もと堅調な相場展開が続いていた中で、利益確定売りが出たことによるものと思われるが、本日もその動向に注目が集まろう。明日(16日)は中国の4-6月期GDPなど主要経済指標が発表される予定。昨日発表された貿易統計は前月から改善しており、明日発表の各種指標も改善基調が続くとみるが、内容を見極めたいといった向きは多いと思われる。利益確定売りをこなしながらのもみ合い展開を予想する。
(マーケット支援部 井上)