1日の香港株式相場は4営業日ぶりに反発。ハンセン指数の終値は前週末比771.05pt(3.35%)高の23732.52ptだった。トランプ米大統領は前週末の記者会見で、中国の社会統制を強める「香港国家安全法」を巡り、米国による香港の優遇措置を撤廃すると表明したが、詳細には踏み込まず米中の貿易合意の破棄や追加関税にも言及しなかったため、米中対立の激化への警戒が一服し、買い戻しが広がった。中国メディアの財新などによる5月の中国の製造業景況感指数が前月から改善したのも投資家心理を支えた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで17億5100万香港ドルの買い越しだった。
1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発。前週末比91ドル91セント(0.4%)高の25475ドル02セントで取引を終えた。米経済活動の正常化への期待から、金融株など景気敏感株が買われた。ただ、白人警官による黒人暴行死への抗議デモが全米で広がっており、経済再開に水を差すとの見方は相場の重荷となった。
本日の香港市場は方向感に乏しい展開か。各国の経済活動正常化を期待する買いが入る一方で、ハンセン指数は昨日ほぼ全面高だったこともあり、利益確定売りが上値を抑える場面も想定しておきたい。
(マーケット支援部 井上)
堅調展開継続か。良好な需給と投資家心理が下支え
1日の中国本土株式相場は大幅に3日続伸。上海総合指数の終値は前週末比63.0799pt(2.21%)高の2915.4311pt、深セン成分指数の終値は同356.074pt(3.31%)高の11102.150ptとなり、上海総合指数は2900pt台を回復し、約2カ月半ぶりの高値となった。トランプ米大統領が5月29日の演説で米中貿易協議の「第1段階の合意」撤回や追加の制裁関税などに言及しなかったことが、米国が中国を過度に圧迫することは現時点では回避したと受け止められ、幅広い銘柄に買いが入った。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで104億8600万元の買い越し。個別では、宜賓五糧液(000858)、ラックスシェア(002475)、歌爾(002241)、美的集団(000333)、貴州茅台酒(600519)、江蘇恒瑞医薬(600276)、上海国際機場(600009)、恒星電子(600570)、伊利実業集団(600887)などが買い越しとなり、格力電器(000651)、中国国旅(601888)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場は堅調展開継続か。昨日のストックコネクトを通じた海外投資家によるA株買い越し額は約1カ月半ぶりに100億元を突破した(資金流入は6営業日連続)。前週に閉幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の後に経済対策が進展し、中国人民銀行(中央銀行)が月内にも利下げなどの金融緩和を打ち出すとの期待も根強いと思われる。良好な需給と投資家心理を背景に堅調な地合いが続きそうだ。
(マーケット支援部 井上)