22日の香港株式市場でハンセン指数は大幅続落。終値は前日比1349.89pt(5.55%)安の22930.14ptと、約2カ月ぶりの安値を付けた。22日に開幕した中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、香港での国家分裂行為などを禁じる「香港版国家安全法」が議題となることが伝わり、米中対立の激化や域内での反政府デモの再燃など域内外の政治や経済への懸念が強まり、指数は午後に下げ幅を広げた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで44億1300万香港ドルの買い越しだった。
22日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に続落。前日比8ドル96セント安の24465ドル16セントで取引を終えた。中国が香港の統制強化に動いており、米中関係の溝が深まるとの警戒感から売りが出た。ただ、新型コロナウイルスのワクチン開発が進み、米経済活動の正常化を後押しするとの期待が相場を支え、引け間際には小幅高に転じる場面もあった。
本日の香港市場は神経質な展開か。中国政府が香港の監視を強化する姿勢を見せたことを受け、香港では週末にデモが行われた。米国も中国を批判する姿勢を示しており、香港情勢と米中対立激化への懸念が上値を抑えそうだ。
(マーケット支援部 井上)
落ち着きどころを探る展開か。政策関連銘柄に注目が集まる流れも想定しておきたい
22日の中国本土市場は続落。上海総合指数の終値は前日比54.1583pt(1.88%)安の2813.7654pt、深セン成分指数の終値は同240.431pt(2.21%)安の10604.965ptだった。中国政府が香港に導入しようとしている「香港版国家安全法」が米中関係の緊張をいっそう高めるとの警戒から、香港ハンセン指数が5%超下落し、中国本土株にも売りが波及した。全人代が22日に開幕。李克強首相は所信表明にあたる政府活動報告で一連の景気対策を発表したが、内容は期待と比べてやや物足りないとの受け止めが多く、幅広い銘柄に失望売りが出た。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで33億2600万元の売り越し。個別では、三一重工(600031)、宜賓五糧液(000858)、美的集団(000333)、ラックスシェア(002475)などが買い越しとなり、貴州茅台酒(600519)、江蘇恒瑞医薬(600276)、伊利実業集団(600887)、中国国旅(601888)、格力電器(000651)、歌爾(002241)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場は落ち着きどころを探る展開か。香港市場の動向を睨みながらの展開となろう。全人代の政府活動報告で打ち出された「製造業の高度化と新興産業の発展」「消費の改革促進」「新型インフラの整備強化」といった政策関連銘柄に注目が集まる流れも想定しておきたい。
(マーケット支援部 井上)