11日の香港市場でハンセン指数は3営業日ぶりに反発し、終値は1.26%高の27583.88ptで終えた。新型肺炎の感染拡大が減速したとの見方から、幅広いセクターで買いが優勢だった。前日のNY市場と上海、深セン市場の上昇も投資家心理を強気に傾けた。ただ、新型肺炎が景気に及ぼす影響を見極めたいとの気分も強く、上値は重かった。中国本土から香港株に投資する「港股通」(サウスバウンド・トレーディング)は、成約ベースで42億6200万香港ドルの買い越しだった。
11日の米国市場でダウ平均は前日比0ドル48セント安の29276ドル34セントで終えた。新型肺炎の感染拡大の勢いが弱まりつつあるとの見方から、朝方は買いが先行したが、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の議会証言から金融緩和を示唆する発言がなく、次第に利益確定売りが優勢になった。
新型肺炎を巡っては、世界保健機関(WHO)は11-12日の予定で、新型コロナウイルスに関する研究会合を開き、世界各国から約400人の専門家が参加し、ウイルスの発生源やゲノム配列などについて意見を交わす。ワクチンや治療薬の開発に向け、今後の研究開発の行程表(ロードマップ)策定を目指すと伝わっている。
本日の香港市場は、新型肺炎の感染拡大状況を気にしながらも、世界的なウイルス対策強化の動きを受け、落ち着いた展開が予想されよう。
(マーケット支援部 飯田)
上値の重い展開か
11日の中国市場で上海総合指数は6営業日続伸し、終値は0.39%高の2901.67ptだった。深セン成分指数も0.37%高の10768.63ptと6営業日続伸となった。春節(旧正月)明けの急落以降、上昇が続いているだけに利益確定売りが出やすい一方、新型肺炎への政策期待などが引き続き相場を支え、節目の2900ptを回復した。香港から中国本土株に投資する「滬股通(上海コネクト・ノースバウンド)」と「深股通(深センコネクト・ノースバウンド)」は、合わせて成約ベースで10億4400万元の買い越しだった。
個別では、貴州茅台酒(600519)、江蘇恒瑞医薬(600276)、中国国旅(601888)、内蒙古伊利実業(600887)、宜賓五糧液(000858)、珠海格力電器(000651)、ラックスシェア(002475) などが買い越しとなり、杭州ハイクビジョン(002415)などが売り越しとなった。
本日の中国市場は全体として上値の重い展開か。新型肺炎の感染拡大ペースの鈍化報道や中国の防疫対策に対する期待感は支えになりそうだが、高値圏では利益確定の売りも想定されよう。
(マーケット支援部 飯田)