香港市場
【10月回顧】ハンセン指数は約1年ぶりの安値
中東情勢の緊迫化、米長期金利の上昇や中国経済の先行き不安などが重荷となり、香港市場は軟調な展開が続いた。ハンセン指数は24日に17,000ptを割り込み、22年11月以来約1年ぶりの安値を付けた。米10年国債利回りは23日、一時約16年ぶりに5%を突破。需給面では、サウスバウンド経由の中国マネーの買い越し額は143億HKD(25日時点)にとどまり、9月の545億HKDから大幅に細った。
個別銘柄では、中興通訊(00763)は減収決算に失望売りで急落した一方、大幅増益ガイダンスを発表したBYD(01211)は、一時大きく買われた。
【11月見通し】神経質ながらも底堅い展開を想定
11月の香港市場は、神経質ながらも値ごろ感・割安感(10/25時点、ハンセン指数のPBRは1倍割れ、PERは10倍未満)から底堅い展開を想定。
中東の地政学リスクには目が離せない。米FRBは11月会合で利上げを見送る公算が大きいが、米長期金利の上昇圧力は依然として強いようだ。15~17日に開かれるAPEC首脳会議で、米中首脳会談が行われる可能性があり、米中関係の改善につながるかが注目されている。7~9月期の決算発表にも注視したい。決算内容を受けた個別物色の動きが続きそうだ。
17日にハンセン指数の構成銘柄の見直し結果が発表される予定。
(10/25記:東洋証券亜洲有限公司 キョウ)
中国市場
【10月回顧】上海3,000pt割れ、外資の売り加速
10月の中国市場は下旬にかけて大幅下落。中東情勢を巡る地政学リスクや中国景気の減速懸念などを受け、上海総合指数は23日に約1年ぶり安値の2,923ptまで売られた。深セン成分指数も同日に約4年2カ月ぶり安値の9,373ptまで下落。外資によるA株売越額は436億元(月初~10/25)と資金流出が加速したことも相場の重し。月後半に「国家隊」と呼ばれる政府系資金(中央匯金投資)の買い支えや中国政府が国債を1兆元増発することが伝えられたが、効果は限定的だった。1日当たり売買代金(上海+深セン)が7000億元台の日も多く、総じて低調。
【11月見通し】相場ムード改善で買い戻しへ
11月の中国市場で上海総合指数は3,000pt、深セン成分指数は10,000ptの回復を目指す動きが強まると見る。5年に一度の全国金融工作会議が10月末に開催予定。不動産危機など金融リスクへの懸念がひとまず一服しそうで、これまで消極的だった国内外投資家による資金流入のきっかけとなろう。また、APEC首脳会議で米中首脳会談が実現すれば、投資家マインドを押し上げよう。相場全体のムードが改善することで、江蘇恒瑞医薬(600276)や立訊精密工業(002475)など大型優良株を中心に買い戻しの動きが強まりそうだ。
(10/25記:上海駐在員事務所 山藤)