新規口座開設はこちらから

マルチチャンネルサービス

ホームトレードはこちらから

TOYOメール配信サービス

中国からの便り

第172回:洪水被害はもうコリゴリ 現地で聞いたリアルボイス

重慶市内を流れる雄大な長江

「泳げるようになれば、いざという時に助かる可能性が高くなるわよ」――。雨が多い季節になると、中国の祖母のこの言葉を思い出す。幼い頃によく言い聞かされたものだ。三峡ダムがまだ建設中だった20年以上前。小学生の子供を水泳教室に通わせる親も少なくなかった。

私が生まれ育った重慶には、アジア最長の河川である長江が流れている。そのまま華中地域を東に流れ、上海で東シナ海に注ぐ大河だ。内陸都市の水運事業に欠かせない重要な川だが、一方で雨期にはしばしば氾濫に見舞われ、周辺住民にとっては大きな災いをもたらしかねない存在でもある。

今年6月頃から中国中西部で断続的な大雨が降り、長江流域を中心に洪水や土砂災害が発生している。重慶の農村部では史上最大規模と言われる洪水が起き、深刻な被害が出た。

7月上旬の話。現地の友人は「親戚の村では、住民皆が家を諦め、避難先を探している」と嘆いていた。村を流れる河川の水かさが増し、いつ冠水してもおかしくない状態だったという。その後、家が数軒流されてしまったと聞いた。恐ろしい。

当時、地元自治体からは避難通知もなく、自分たちで避難先を探したようだ。なぜ通知がなかったのか。友人は「通知を出すと、後で住民から家の弁償などを求められる。それがイヤだからわざと出していないんだよ!」と憶測交じりで言い放つ。日本では想像できないことだが、中国に住んでいると思わず「なるほど」と思ってしまうロジックだ。

もちろん、災害対策で昼夜を問わず奮闘する地元政府の幹部もいると聞く。重慶の地方部に住む親戚は「地域担当者は6月からほぼ休みなしで河川の水位視察や堤防補強に一生懸命だ」と話していた。普段は全く姿を見せない担当者なのだが、毎日のように周辺住民の家を回っていたようだ。まぁ、これにも中国ならではの事情がある。もし問題が発生したらクビになる可能性が高い。だから必死なのでは......。こんな見方もささやかれる。

経済面のダメージを懸念する人もいる。知人は今年4月、重慶市内で念願の新築マンションを購入。完成は1年後だが、とりあえず頭金として50万元(約750万円)を支払った。しかし、その後の大雨の影響で建設工事がストップ。現場は建設中なのか取壊し中なのか分からないくらいの有様で、工事関係者もおらず、資材が散乱していたという。担当者との連絡も途絶えてしまった。「このままマンションは完成せず、お金を持ち逃げされるのでは......」。最悪の事態が頭をよぎる。

さて、話題の三峡ダム。海外メディアを中心に、「豪雨の影響によるダム崩壊の恐れ」が大きく伝えられている。実際のところはどうなのか。建築関係の仕事に就く現地の友人は「そんなのデタラメだ!捏造記事に騙されているんだよ」とバッサリ。これまでも長江流域の水位が上昇する度にダムの変形や崩壊などさまざまな噂が流れていたという。彼は「もし、ホントに崩壊しそうになったら、テレビでダムの放水シーンなどは流さないと思うよ。政府はもっと慌ただしくなるはず」と続けた。

まぁ、その言葉には一理あるだろう。中国で流れるのは、洪水対策の成功や住民の救出劇などほとんどがポジティブなニュース。海外とは対照的だ。やや浅はかな考えとは思うものの、三峡ダム関連のニュースが流れているうちはとりあえず心配する必要はない(だろう)。このようにして自分を慰めている。もちろん、心の中では万が一の事態にも備えておきたい。20年前に長江で磨いた泳ぎのテクニックが通用するかどうかは定かではないが。

(東洋証券上海駐在員事務所 山藤 秋男)

ご投資にあたっての注意事項

外国証券等について

  • 外国証券等は、日本国内の取引所に上場されている銘柄や日本国内で募集または売出しがあった銘柄等の場合を除き日本国の金融商品取引法に基づく企業内容等の開示が行われておりません。

手数料等およびリスクについて

  • 国内株式等の手数料等およびリスクについて
  • 国内株式等の売買取引には、約定代金に対して最大1.2650%(税込み)の手数料をいただきます。約定代金の1.2650%(税込み)に相当する額が3,300円(税込み)に満たない場合は3,300円(税込み)、売却約定代金が3,300円未満の場合は別途、当社が定めた方法により算出した金額をお支払いいただきます。国内株式等を募集、売出し等により取得いただく場合には、購入対価のみをお支払いいただきます。国内株式等は、株価の変動により、元本の損失が生じるおそれがあります。
  • 外国株式等の手数料等およびリスクについて
  • 委託取引については、売買金額(現地における約定代金に現地委託手数料と税金等を買いの場合には加え、売りの場合には差し引いた額)に対して最大1.1000%(税込み)の国内取次ぎ手数料をいただきます。外国の金融商品市場等における現地手数料や税金等は、その時々の市場状況、現地情勢等に応じて決定されますので、本書面上その金額等をあらかじめ記載することはできません。
  • 国内店頭取引については、お客さまに提示する売り・買い店頭取引価格は、直近の外国金融商品市場等における取引価格等を基準に合理的かつ適正な方法で基準価格を算出し、基準価格と売り・買い店頭取引価格との差がそれぞれ原則として2.50%となるように設定したものです。
  • 外国株式等は、株価の変動および為替相場の変動等により、元本の損失が生じるおそれがあります。
  • 債券の手数料等およびリスクについて
  • 非上場債券を募集・売出し等により取得いただく場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。債券は、金利水準の変動等により価格が上下し、元本の損失を生じるおそれがあります。外国債券は、金利水準の変動等により価格が上下するほか、カントリーリスクおよび為替相場の変動等により元本の損失が生じるおそれがあります。また、倒産等、発行会社の財務状態の悪化により元本の損失を生じるおそれがあります。
  • 投資信託の手数料等およびリスクについて
  • 投資信託のお取引にあたっては、申込(一部の投資信託は換金)手数料をいただきます。投資信託の保有期間中に間接的に信託報酬をご負担いただきます。また、換金時に信託財産留保金を直接ご負担いただく場合があります。投資信託は、個別の投資信託ごとに、ご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容や性質が異なるため、本書面上その金額等をあらかじめ記載することはできません。
  • 投資信託は、主に国内外の株式や公社債等の値動きのある証券を投資対象とするため、当該金融商品市場における取引価格の変動や為替の変動等により基準価額が変動し、元本の損失が生じるおそれがあります。
  • 株価指数先物・株価指数オプション取引の手数料等およびリスクについて
  • 株価指数先物取引には、約定代金に対し最大0.0880%(税込み)の手数料をいただきます。また、所定の委託証拠金が必要となります。
  • 株価指数オプション取引には、約定代金、または権利行使で発生する金額に対し最大4.400%(税込み)の手数料をいただきます。約定代金の4.400%(税込み)に相当する額が2,750円(税込み)に満たない場合は2,750円(税込み)の手数料をいただきます。また、所定の委託証拠金が必要となります。
  • 株価指数先物・株価指数オプション取引は、対象とする株価指数の変動により、委託証拠金の額を上回る損失が生じるおそれがあります。

利益相反情報について

  • この資料を掲載後、掲載された銘柄を対象としたEB等を東洋証券(株)が販売する可能性があります。
    なお、東洋証券(株)および同関連会社の役職員またはその家族がこの資料に掲載されている企業の証券を保有する可能性、取引する可能性があります。

ご投資にあたっての留意点

  • 取引や商品ごとに手数料等およびリスクが異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目論見書、等をご覧ください。
  • 掲載されている情報は、当社が各種のデータに基づき投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成したもので、投資勧誘を目的としたものではありません。
    また、掲載されている情報の正確性および完全性を保証するものでもありません。意見や予測は作成時点の見通しであり、予告なしに変更することがありますのでご注意ください。
    掲載されている情報に基づき投資を行った結果、お客さまに何らかの損害が発生した場合でも、当社は、理由の如何を問わず、一切責任を負いません。株価の変動や、発行会社の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込むことがありますので、投資に関する最終決定は、お客さまご自身の判断でなされるようお願いいたします。
    なお、東洋証券および同関連会社の役職員またはその家族はレポート等に掲載されている企業の証券を保有する可能性、取引する可能性があります。
    情報の著作権は当社または情報提供元に帰属しており、いかなる方法を用いても、事前の許可なく複製または転送等を行わないようにお願いいたします。
PDFファイル形式のニュースをご覧になる場合は、Adobe Readerをインストール頂く必要がございます。
Adobe Readerダウンロードページへ