21日の香港株式市場は続落した。ハンセン指数の終値は前週末比157.64pt(0.64%)安の24,170.07ptだった。中国当局による大手ネット企業への規制強化懸念が再燃し、投資家が運用リスクを回避する姿勢を強めた。テンセント(00700)など寄与度の大きい中国ネット大手株が総じて下げ、指数を押し下げた。中国の経済政策のかじ取りを担う国家発展改革委員会(発改委)などは18日、ネット出前サービスに対して手数料の減額を求める飲食業向けの支援策を発表した。また銀行保険監督管理委員会(銀保監会)は18日、インターネット上の仮想空間「メタバース」が違法な資金調達手段として使われる可能性があると警鐘を鳴らす声明を公表した。テンセントに加え、出前アプリの美団(03690)やゲームの網易(ネットイース、09999)、アリババ集団(09988)といったネット大手株が大幅安となった。2021年12月期通期の決算で最終損益が赤字になったようだと発表した中国火鍋チェーンの海底撈国際控股(06862)が安い。半面、中国移動(00941)などの通信株が堅調だった。ハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数は大幅に続落し、2.78%安だった。香港メーンボードの売買代金は1437億香港ドルだった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで5億3500万香港ドルの買い越しだった。
22日の香港株式市場でハンセン指数は続落か。香港における新型コロナ新規感染拡大への懸念やウクライナ情勢への警戒は根強く市場全体の重荷となろう。
(マーケット支援部 林)
もみ合いか
21日の中国・上海株式市場は5営業日ぶりに小幅反落した。上海総合指数の終値は前週末比0.1450pt安の3,490.6123ptだった。ウクライナ情勢など地政学リスクへの警戒感が続いたほか、中国景気の先行き懸念もあり、売りが出た。午後に入ると不動産業界などへの当局の政策期待が高まり、指数は下げ幅を縮小。小幅高に転じる場面もあった。中国人民銀行(中央銀行)は朝方、実質的な政策金利の最優遇貸出金利(LPR)を据え置いたが、予想通りと受け止める市場関係者が多く、相場の反応は限られた。酒造や銀行の一角が安い。保険や自動車、バッテリー関連、石油株も下げた。半面、通信や石炭、食品が高く、物流やソフトウエア関連も上げた。上海・深セン両市場を合わせた売買代金は9004億元となった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで35億2200万元の売り越しだった。個別では、内蒙古伊利実業集団(インナー・モンゴリア・イーリー・インダストリアル、600887)、珠海格力電器(グリー・エレクトリック・アプライアンシズ・オブ・ヂューハイ、000651)、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)などが買い越しとなり、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、宜賓五糧液(ウーリィアンイェー・イービン、000858)、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)などが売り越しとなった。
22日の中国本土市場はもみ合いか。ウクライナ情勢が懸念され、売りが先行しそうだ。中国の一部大都市で中国工商銀行(01398)、中国銀行(03988)、中国建設銀行(00939)、中国農業銀行(01288)の4大国有銀行が、住宅ローン金利水準を5.6→5.4%等に引き下げることが伝わっている。不動産セクターへの支援材料となりそうだ。
(マーケット支援部 林)