16日の香港株式市場でハンセン指数は続落した。終値は前日比201.69pt(0.70%)安の28,436.84ptと、5月24日以来約3週間半ぶりの安値を付けた。前日の米株安を受け、朝方から売りが優勢だった。午後の取引時間中に中国の5月の経済統計が発表されると、指数は下げ幅を拡大。この日の安値圏で引けた。工業生産高や小売売上高といった中国の5月の経済統計は、主要な4指標すべての伸びが4月から鈍化した。太陽光発電ガラスや電気自動車(EV)の関連銘柄が急落するなど、中国の製造業や消費関連に売りが出た。半面、16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)結果発表で米金融政策の変更が示唆されるとの思惑を背景に、金融株と不動産株の一角が買われた。香港のメーンボード(東証1部に相当)の売買代金は1383億香港ドルと、前日(1436億香港ドル)からやや減った。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで26億3700万香港ドルの売り越しだった。
16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比265ドル66セント(0.8%)安の34,033ドル67セントで終えた。米連邦準備理事会(FRB)が午後に発表した米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受け、金融政策の正常化が想定以上のペースで進むとの見方が広がり、売りが優勢となった。半面、米債券市場で長期金利が一時1.59%と前日終値(1.49%)から上昇したことを受け、利ざや拡大の観測から金融株の一角が買われ、相場を支えた。ハイテク株が多いナスダック総合株価指数は続落し、前日比33.173pt(0.2%)安の14,039.684ptで終えた。
本日の香港株式市場は落ち着きどころを探る展開か。前日の米国株式市場が下落した流れを引き継ぎ、安く始まると見られる。ただ、前日に中国の5月の経済統計の発表を受けて既に下げており、本日は軟調に推移するなかで落ち着きどころを探る展開となろう。
(マーケット支援部 床井)
下値もみあいか
16日の中国・上海株式相場は3日続落した。上海総合指数の終値は前日比38.2298pt(1.07%)安の3,518.3292ptだった。取引終了後に中国の5月の主要な経済統計が発表されるのを前に、投資家の様子見姿勢は強かった。高PER(株価収益率)銘柄を中心に売りが出た。中国当局が銅やアルミニウムなどの備蓄を近く放出すると伝わり、非鉄金属株の下げも目立った。上海のハイテク新興企業向け市場「科創板」の50銘柄で構成する「上証科創板50成分指数」は大幅に反落し、同2.88%安だった。上海と深セン市場の売買代金は合計で9322億元と前日から約7%減少し、節目の1兆元を下回った。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで4億500万元の売り越しだった。個別では、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、内蒙古伊利実業集団(インナー・モンゴリア・イーリー・インダストリアル、600887)などが買い越しとなり、歌爾(ゴーテック、002241)、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)、美的集団(ミデア・グループ、000333)などが売り越しとなった。
本日の中国本土株式市場は下値もみ合いか。前日に中国国家統計局が発表した主要指標が市場予想に届かなかったことが嫌気されることになりそうだ。ただ、上海総合指数は足元心理的節目の3,500ptに近づいており、水準的に押し目買いが入る動きも期待できよう。
(マーケット支援部 床井)