8日の香港株式相場は小幅に5日続落した。ハンセン指数の終値は前日比5.90pt(0.02%)安の28,781.38ptだった。軟調な上海株相場が投資家心理の重荷となった。ハイテク銘柄を中心に売りが出た。翌日に米中の物価統計の公表を控え、投資家の様子見姿勢は強く、薄商いのなかで方向感に欠ける展開が続いた。ハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数は同0.76%安だった。香港メーンボードの売買代金は1226億香港ドルと、前日から15%ほど減った。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで17億6700万香港ドルの売り越しだった。
8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比30ドル42セント(0.1%)安の34,599ドル82セントで終えた。ダウ平均は5月に付けた過去最高値(34,777ドル)に迫っており、高値警戒感から売りが出た。ただ、米経済の回復に着目した買いも入り、午後は前日終値を挟んでもみ合う展開だった。ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3日続伸し、前日比43.190pt(0.3%)高の13,924.911ptで終えた。
本日は日本時間10時30分に5月の中国の消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)が発表される予定。結果によっては神経質な展開になる可能性もあろう。
(マーケット支援部 井上)
全体は上値重いも、個別銘柄の動向に注視したい
8日の中国・上海株式相場は3営業日ぶりに反落した。上海総合指数の終値は前日比19.4347pt(0.53%)安の3,580.1063ptと約2週ぶりの安値だった。朝方は上昇する場面もあったが、広東省での新型コロナウイルスの感染拡大や、米中の対立激化への懸念から次第に売りが優勢になった。白酒大手や石油など資源関連株の売りが目立った。半面、深セン上場の車載電池の寧徳時代新能源科技(CATL)や電気自動車(EV)の比亜迪(BYD、01211)は「EV向けバッテリーの供給で米アップルが初期段階の協議を進めている」と伝わったことが材料視され買われた。上海のハイテク新興企業向け市場「科創板」の50銘柄で構成する「上証科創板50成分指数」は前日比1.01%安だった。深セン株式市場の総合指数は同0.86%安、新興企業向け市場の「創業板」指数は同0.60%安だった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで3億100万元の買い越しだった。個別では、立訊精密工業(ラックスシェア・プレシジョン・インダストリー、002475)、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、江蘇恒瑞医薬(ジャンスー・ハンルイ・メディシン、600276)などが買い越しとなり、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)、歌爾(ゴーテック、002241)、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)などが売り越しとなった。
本日の本土株式市場は、全体は上値を伸ばしにくい半面、個別銘柄に注目が集まろう。米アップルが計画中の電気自動車(EV)向けのバッテリーについて、生産コストの安いリン酸鉄リチウムバッテリーの採用を目指していることが伝わっている。関連銘柄の動向に注視したい。
(マーケット支援部 井上)