16日の香港株式市場でハンセン指数は反発した。終値は前日比176.57pt(0.61%)高の28,969.71ptだった。朝方発表の中国の経済指標が総じて底堅い内容だったとの受け止めが広がり、足元の中国経済に対する安心感から中国本土系銘柄に買いが入った。これまで中国当局による監視強化への警戒から売られていた中国のネット株に押し目買いが入り、指数は午後に上げ幅を拡大した。香港のメーンボード(東証1部に相当)の売買代金は1431億香港ドルと、前日から1割強増えた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで50億3900万香港ドルの買い越しだった。
16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比164ドル68セント(0.5%)高の34,200ドル67セントで終えた。連日で過去最高値を更新した。新型コロナウイルスワクチンの普及で米経済の正常化に弾みが付くとの期待から、経済再開の恩恵を受ける銘柄が買われた。市場予想を上回る主要企業の決算が続いていることも好感された。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続伸し、前日比13.579pt(0.1%)高の14,052.342ptで終えた。過去最高値を付けた2月12日以来の高値で終えた。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は続伸し、前日比15.05pt(0.4%)高の4,185.47ptと連日で最高値を更新した。
19日の香港市場でハンセン指数は続伸スタート後もみ合いか。経済活動の正常化期待で16日の米ダウ工業株30種平均が連日で最高値を更新したことを受け、香港市場でも買い先行のスタートが予想されるが、米中関係について、期待と警戒が入り混じる材料が出ており、方向感を見極めたいといったムードも強まりそうだ。16日の日米首脳会談を受けてまとめた共同声明では「台湾」が明記された。米中の関係悪化への警戒が広がれば、上値を抑える可能性もあろう。一方で、米中両政府は17日に発表した気候変動を巡る共同声明では、米中が協力して対策を進めることで一致し、米国が主催する気候変動サミットについて、中国が参加に前向きな姿勢を示した。両国は利害が一致する分野では連携する姿勢をみせる格好となっており、関連銘柄の選別物色につながりそうだ。また、本日は世界最大級のオンライン旅行会社「トリップドットコム(Trip.com)」(香港09961)が香港市場に回帰上場する予定。ワクチン接種の進展による感染収束を期待し、旅行や娯楽関連銘柄の物色につながるか注目したい。
(マーケット支援部 井上)
小じっかりの展開か。上海国際自動車ショー開幕で関連銘柄に注目が集まろう
16日の中国・上海株式相場は反発した。上海総合指数の終値は前日比27.6303pt(0.81%)高の3,426.6178ptだった。足元の下げで相場が3週ぶりの安値圏に沈んでおり、出遅れ感を意識した資金が流入した。午前に発表された1~3月の主要経済統計は国内総生産(GDP)が1992年以降で最大の伸びを記録するなど総じて堅調な内容となった。景気の回復基調が続くとの見方も買い安心感につながり、指数が午後にかけて徐々に上げ幅を拡大した。上海と深センの売買代金は合計で6921億元と、引き続き低水準だった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで71億5200万元の買い越し。個別では、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)、珠海格力電器(グリー・エレクトリック・アプライアンシズ・オブ・ヂューハイ、000651)、江蘇恒瑞医薬(ジャンスー・ハンルイ・メディシン、600276)が買い越しとなり、瀘州老窖(ルーヂョウ・ラオジャオ、000568)、隆基緑能科技(ロンギ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)などが売り越しとなった。
19日の中国本土市場は、小じっかりの展開を想定。世界最大級の自動車展示会「上海国際自動車ショー」が本日(19日)から28日までの日程で、中国・上海市で開幕する。中国メディアによると、国内外の自動車メーカーが150車種近くの新車を展示する見通し。今回の出展企業には、IT(情報技術)など異業種の参加も目立つよう。関連銘柄に注目が集まりそうだ。
(マーケット支援部 井上)