12日の香港株式市場でハンセン指数は3日続伸した。終値は前日比368.53pt(1.32%)高の28,276.75ptと、2020年1月22日以来およそ1年ぶりの高値を付けた。米国の制裁強化によって株価が下落していた銘柄に中国本土の投資家が買いを入れ、相場を押し上げた。
中国本土市場との相互取引を利用した香港株の売買が買い越し続きで、本土投資家の香港株買いの観測を高めた。ニューヨーク証券取引所(NYSE)が売買を停止した中国移動、中国聯通、中国電信の通信大手3社が6%超とそろって急伸した。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで107億5200万香港ドルの買い越しだった。
12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比60ドル00セント(0.2%)高の31,068ドル69セントで終えた。バイデン次期政権による経済対策への期待などから景気敏感株の一角が買われた。主力ハイテク株が利益確定売りに押され、相場の上値は重かった。
13日の香港市場はもみ合う展開か。ハンセン指数は前日まで3営業日続伸し、心理的節目の28000ptに乗せ、ほぼ1年ぶり高値で終えた。短期的な相場過熱感から利益確定売りが重荷となりそうだ。半面、世界的な低金利環境の継続や中国経済の回復見通し、中国の「第14次5カ年計画(2021-25年)」に向けた政策期待から相場の先高観が根強く、下値は堅いと予想する。
(マーケット支援部 松川)
【中国本土市場】買い先行のしっかりとした展開か
12日の中国・上海株式相場は3営業日ぶりに反発した。上海総合指数の終値は前日比76.8411pt(2.17%)高の3608.3389ptと、2015年12月下旬以来およそ5年1カ月ぶりの高値を付けた。深セン成分指数は344.652pt(2.28%)高の15,460.032ptと3営業日ぶりに反発した。習近平(シー・ジンピン)国家主席が11日の会議で内需や個人消費の拡大を促し、消費刺激策など政策期待が高まった。香港との株式相互取引を利用した外国人投資家による中国本土株の売買が84億元と大幅な買い越しとなり、海外資金の流入も相場の先高観を強めている。
白酒の貴州茅台酒が3%近く上昇し、上場来高値を更新した。免税店を運営する中国旅遊集団中免のほか、深セン市場でも白酒メーカーの宜賓五糧液や家電の美的集団など、消費関連株にも買いが目立った。株式市場の活況を好感し、証券株や保険株が大幅に上昇した。液晶パネルや半導体関連株の一角が高く、軍需関連株も堅調だった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで84億4500万元の買い越しだった。 個別では、江蘇恒瑞医薬(ジャンスー・ハンルイ・メディシン、600276)、中国中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)、隆基緑能科技(ロンギ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、などが買い越しとなり、ラックスシェア(002475)、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、内蒙古伊利実業集団(インナー・モンゴリア・イーリ-・インダストリアル、600887)などが売り越しとなった。
こうした中、本日の中国本土株式市場は前日までの好地合いを継いで、買いが先行する流れとなろう。米株高や原油上昇もプラス材料だ。ただ、昨日は上海総合指数が約5年1カ月ぶり、ハンセン指数が約1年ぶりの高値水準を切り上げていることもあり、売り圧力が高まっていることには注意したい。また、あす14日には、昨年12月の中国貿易統計が公表される。結果を見極めたいとするスタンスが強まれば、買い手控え要因ともなろう。
(マーケット支援部 松川)