12日の香港株式市場は小幅に続落。ハンセン指数の終値は前日比57.60pt(0.21%)安の26,169.38ptだった。世界的な経済活動の正常化期待から足元で上昇が続いていた金融や不動産株を売って、値ごろ感の出ていたハイテク株を買う動きが目立った。ハイテク関連の30銘柄で構成するハンセンテック指数は大幅に反発し、前日比3.23%高。香港メーンボードの売買代金は1671億香港ドルと、前日からは4割弱減少。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで15億9800万香港ドルの買い越しだった。
12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落。前日比317ドル46セント(1.1%)安の29,080ドル17セントで取引を終えた。米国で新型コロナウイルスの新規感染者の増加基調が続き、短期的に景気の足を引っ張るとの警戒が強まり、景気敏感株中心に売られた。また、米議会で議論が続く追加の経済対策案について、米CNBCが12日、「数カ月以内の成立は難しい」と報じたことも、投資家心理を冷やす要因になった。
13日の香港市場でハンセン指数はもみ合いか。前日の米株式市場の下落を受け、目先の利益を確定する売りが先行しそうな一方で、新型コロナウイルスの感染再拡大が懸念されるなか、米連邦準備理事会(FRB)などが金融緩和を強化するとの見方が下値を支えよう。中国ネットサービスのテンセント(00700)が12日発表した2020年7~9月期決算は、純利益が前年同期比89%増の385億元、売上高は29%増の1254億元となり、市場予想(売上高は1240億元、純利益は298億元)をともに上回った。主力のゲーム事業の好調が続いたほか、投資先の評価益などの増加が寄与した。好決算を受け、テンセント株が強含みの動きとなれば、他のIT関連銘柄への波及も期待できそうだ。
(マーケット支援部 井上)
個別銘柄物色中心の展開か。EV関連銘柄に注目が集まりそう
12日の中国・上海株式市場は小幅に3日続落。上海総合指数の終値は前日比3.5237pt(0.10%)安の3338.6788ptだった。11日夕に発表された10月の中国金融統計で現預金総額(M2)や社会融資規模の伸びが前月を下回り、景気回復の勢いが鈍化することへの警戒が相場の重荷となった。一方で新興ハイテク株などには値ごろ感からの買いが入り、下値は限られた。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで5億700万元の売り越し。個別では、宜賓五糧液(000858)、京東方科技(000725)、格力電器(000651)、美的集団(000333)、中国中免(601888)、三一重工(600031)、上海国際機場(600009)などが買い越しとなり、ハイクビジョン(002415)、貴州茅台酒(600519)、江蘇恒瑞医薬(600276)、上海汽車集団(600104)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場は個別銘柄物色中心の展開か。12日の米国市場では、中国の電気自動車(EV)の小鵬汽車(シャオペン、XPEV)の米預託証券(ADR)が急騰し、一時前日比44.85%高の44.73ドルと上場来高値をつけた。12日発表した2020年7~9月期決算で売上高が大幅に伸び、好感した買いが集まった。買いは他の中国EVメーカーのADRにも広がり、上海蔚来汽車(NIO)は同12%高、理想汽車(リオート、LI)は同27%高まで上昇し、ともに上場来高値を更新した。中国市場でもEV関連銘柄の動向に注目が集まりそうだ。
(マーケット支援部 井上)