10日の香港株式市場でハンセン指数は4日続伸。終値は前日比285.31pt(1.09%)高の26,301.48ptと、7月6日以来およそ4カ月ぶりの高値となった。米ファイザーと独バイオ医薬ベンチャーのビオンテックとの共同の新型コロナウイルス用ワクチン開発が進展したのを受け、感染収束や景気回復への期待が高まったことを受け、金融や石油など景気敏感株に見直し買いが集まり、相場をけん引したほか、新型コロナによる打撃が大きい「外出関連」銘柄にも買いが目立った。一方で、電子商取引のアリババ集団(09988)や京東集団(JDドットコム、09618)、ネットサービスのテンセント(00700)、出前アプリの美団(03690)など、ハイテクやITの「ニューエコノミー」関連はさえない動きとなり、ハイテク関連の30銘柄で構成するハンセンテック指数は大幅に反落し、前日比5.15%安の7961.74ptで取引を終了した。香港メーンボード(東証1部に相当)の売買代金は2338億香港ドルと、約4カ月ぶりの高水準。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで11億6700万香港ドルの売り越しだった。
10日の米株式市場で主要株価指数はまちまちの展開。新型コロナウイルスのワクチンの普及への期待から景気敏感株への買いが続きダウ工業株30種平均が2月以来の高値で終えた一方で、ハイテク株への売りは続き、ナスダック総合株価指数は続落した。
本日の香港市場はもみ合いか。中国では本日年間最大のネット通販セール「独身の日」が始まっており、最大手のアリババ集団の取扱高はすでに昨年を上回ったと伝わっている。一方で、10日の米株式市場では、中国電子商取引最大手のアリババ集団(BABA)やネット通販大手の京東集団(JDドットコム、JD)が大幅安となった。背景には、中国当局がネット企業の独占的な行為を規制する新たな指針を発表したことによる先行きの収益懸念があったよう。ネット通販関連株には好悪材料が混在する格好となっており、売り買い交錯の展開が予想される。本日は、香港取引所(00388)、中芯国際集成電路製造(SMIC、00981)が決算発表を予定している。
(マーケット支援部 井上)
方向感に乏しい展開か
10日の中国・上海株式市場は反落。上海総合指数の終値は前日比13.5852pt(0.40%)安の3,360.1485ptだった。指数は9日に前日比1.9%高と急伸し約2カ月ぶりの高値を付けており、目先の利益を確定する売りが優勢となった。取引開始後に発表された10月の中国の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.5%上昇と11年ぶりの低い伸びで、消費回復の停滞が警戒されたことも相場の重荷となった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで41億900万元の売り越し。個別では、格力電器(000651)、京東方科技(000725)、ゴーテック(002241)、貴州茅台酒(600519)、上海国際機場(600009)、上海汽車集団(600104)、興業銀行(601166)などが買い越しとなり、宜賓五糧液(000858)、中国中免(601888)、江蘇恒瑞医薬(600276)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場は方向感に乏しい展開か。景気敏感株の選別物色が予想される中、ハイテク関連が上値を抑える展開が続きそうだ。
(マーケット支援部 井上)