7日の香港株式市場は4日続落。ハンセン指数の終値は前週末比105.80pt安の24,589.65ptと、8月10日以来およそ1カ月ぶりの安値だった。米国が禁輸措置の対象として検討していると伝わった中国半導体受託生産最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC、00981)が急落し、ハイテク分野を巡る米中対立激化への警戒が相場の重荷となった。ハンセン指数を構成する50銘柄のうち38が下落し、上昇は10、横ばいは2、SMICなど香港上場のハイテク関連30銘柄で構成する「ハンセンテック指数」は大幅に3日続落し、4.57%安、香港メーンボードの売買代金は前週末比26%減の1582億香港ドルだった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで39億6900万香港ドルの買い越しだった。
米国市場はレイバー・デーにより休場だった。
本日の香港市場は小動きか。自律反発狙いの買いも想定されるところだが、投資家の慎重姿勢は続きそうだ。トランプ米大統領は7日、米国と中国との経済関係を制限する意向だと述べたと伝わった。国外で雇用を創出する米企業への課税や中国で事業を行う企業の連邦契約からの除外も辞さないと表明することで、11月の大統領選で対決する民主党バイデン候補との違いをアピールした格好のようだが、香港市場では投資家の様子見を促す材料としてとらえられそうだ。本日は、ミネラルウオーターの中国最大手、農夫山泉(09633)が上場する予定。同社の個人投資家向け公募倍率は1148.3倍に上ったが、7日のグレーマーケット価格(上場前の相対取引価格)も公開価格(21.5香港ドル)を91.86%上回る41.25香港ドルで引けており、その人気の高さが窺える状況となっている。全体相場が動きづらい中、資金が集中する可能性も想定しておきたい。
(マーケット支援部 井上)
【中国本土市場】海外投資家の売り越し基調が続いており、積極的に上値を追う動きは限定か
7日の中国本土株式市場は4日続落。上海総合指数の終値は前週末比62.7759pt安の3,292.5907pt、深セン成分指数の終値は同372.624pt安の13,284.033ptだった。上海総合指数は心理的な節目の3,300ptを割り込み、7月30日以来約1カ月ぶりの安値を付けた。米中対立の先鋭化への懸念が高まり、対立分野の1つになるとの見方からハイテク株に売りが広がった。ストックコネクト取引を通じた海外投資家による中国株売買で売り越しが続き、海外投資家が中国市場から資金を引き揚げているとの警戒もくすぶり、地合いの悪化に伴い、午後中ごろから下げ幅を広げた。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで54億6600万元の売り越し。個別では、宜賓五糧液(000858)、長春高新(000661)、海天調味食品(603288)などが買い越しとなり、ラックスシェア(002475)、格力電器(000651)、京東方科技(000725)、分衆伝媒(002027)、貴州茅台酒(600519)、中国中免(601888)、伊利実業集団(600887)、江蘇恒瑞医薬(600276)、三一重工(600031)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場は方向感に乏しい展開を想定。海外投資家の売り越し基調が続いており、積極的に上値を追う動きは限定的となろう。
(マーケット支援部 井上)