27日の香港株式相場は3日ぶりに反落。ハンセン指数の終値は前日比83.30pt(0.35%)安の23301.36ptだった。中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は28日に「香港国家安全法」の制定方針を採択する見込み。導入となれば米国が制裁を科す可能性があり、米中対立が深まるとの警戒感が強まった。
27日の香港では「香港国家安全法」や「国歌条例案」の審議に反対する抗議活動が行われており、社会混乱の再燃懸念も相場の重荷となった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで5億5900万HKドルの買い越しだった。
27日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸。前日比553ドル16セント(2.2%)高の25548ドル27セントと節目の25000ドルを上回り、約2カ月半ぶりの高値で終えた。米経済活動の再開期待を支えに、金融など景気敏感株を中心に買いが優勢となった。
本日の香港市場は方向感に乏しい展開か。米国株高を受け堅調なスタートが予想されるものの、米中対立激化への警戒感が引き続き上値を抑えよう。要人発言に左右される展開も想定しておきたい。
(マーケット支援部 井上)
様子見ムードの強い展開か。人民元の動向にも注目が集まりそう
27日の中国本土株式相場は3営業日ぶりに反落。上海総合指数の終値は前日に比べ9.7437pt(0.34%)安の2836.8036pt、深セン成分指数の終値は同132.733pt(1.22%)安の10682.697ptだった。全人代で28日に、香港国家安全法の施行方針が可決される見通し。トランプ米大統領がこれに反発し、週内にも中国に強力な制裁を科す方針を26日に示唆したことを受け、米中対立激化への警戒から目先の利益を確定する売りが出た。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで12億8900万元の買い越し。個別では、格力電器(000651)、美的集団(000333)、宜賓五糧液(000858)、内蒙古伊利実業集団(600887)などが買い越しとなり、ラックスシェア(002475)、歌爾(002241)、貴州茅台酒(600519)、江蘇恒瑞医薬(600276)、中国国旅(601888)、三一重工(600031)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場は様子見ムードの強い展開か。香港情勢や米中対立の激化懸念が警戒材料となりそうだ。27日の上海外国為替市場では人民元が1ドル=7.16元台まで下落し、約8カ月半ぶりの安値を付けた。「香港国家安全法」を巡る米中両国間の緊張の高まりを背景に元を売る動きが広がっており、市場では中国が法案制定を強行して米国が強力な対中制裁を打ち出せば、一段の元安も視野に入るとの見方が多いようだ。元安は中国本土市場からの資金流出を連想させることなどから株式市場にとってはマイナス材料とも捉えられよう。動向を見極めたいといった向きが増えそうだ。
(マーケット支援部 井上)